2021/3/17

法定相続人と法定相続分とは?

人が亡くなり相続が開始した場合において、遺言書がなければ、民法の規定により相続人になる人の順位と範囲、取得する割合が決められます。これを法定相続といい、このとき決められた相続人を法定相続人、取得する割合を法定相続分といいます。
  
 
 
 
 
法定相続人と法定相続分とは?
 
 
目次
1.法定相続人の範囲
2.法定相続分
 
 
 
1.法定相続人の範囲
 
 
法定相続人の範囲は、民法で次のとおり定められています。
 
(1)配偶者
 
亡くなった人に配偶者がいる場合、その配偶者は常に相続人となります。ただし、内縁関係の人は、相続人に含まれません。
 
(2)配偶者以外の人
 
配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
 
① 第1順位の相続人
第1順位の相続人は亡くなった人の子です。もし、その子が既に亡くなっているときは、その子の直系卑属(亡くなった人の孫やひ孫など)が相続人となり、これを代襲相続といいます。代襲相続が生じたときに孫やひ孫もいるときは、亡くなった人により近い世代である孫が相続することになります。
 
 
② 第2順位の相続人

第2順位の相続人は亡くなった人の直系尊属(父母や祖父母など)です。父母も祖父母もいるときは、亡くなった人により近い世代である父母の方を優先します。第2順位の人は、第1順位の人が誰もいないときに相続人になります。
 
 
③ 第3順位の相続人
第3順位の相続人は亡くなった人の兄弟姉妹です。もし、その兄弟姉妹が既に亡くなっているときは、その人の子(亡くなった人の甥、姪)が相続人となります。第3順位の人は、第1順位の人も第3順位の人もいないときに相続人になります。
 
 
 
2.法定相続分
 
 
配偶者及び各順位の法定相続分は次のとおりです。子、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けることになります。
 
 
① 配偶者と子が相続人である場合
配偶者の相続分は2分の1、子の相続分は2分の1となります。子が2人以上いるときは2分の1の相続分を均等に分けることになります。
 
 
② 配偶者と直系尊属が相続人である場合
配偶者の相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1となります。直系尊属が2人以上いるときは3分の1の相続分を均等に分けることになります。
 
 
③ 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1となります。兄弟姉妹が2人以上いるときは4分の1の相続分を均等に分けることになります。
 
 
なお、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の持分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。