2025/1/9
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戸籍の氏名へのフリガナの記載について |
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令和7年5月26日に改正戸籍法が施行され、戸籍の氏名にフリガナが記載されるようになります。 戸籍の氏名へのフリガナの記載について
1.戸籍法の改正 令和5年6月2日、戸籍法(昭和22年法律第224号)の一部改正を含む「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年法律第48号。以下「改正法」といいます。)が成立し、同月9日に公布されました。 これまで、氏名のフリガナは戸籍に記載されていませんでしたが、この改正法の施行により、新たに氏名のフリガナが戸籍に記載されることとなりました。 改正法は、令和7年5月26日に施行されます。 2.戸籍に氏名のフリガナが記載されるメリット ① 行政のデジタル化の推進のための基盤整備 行政機関等が保有する氏名の情報の多くは漢字で表記されていますが、同じ漢字でも様々な字体がある(例:「高」と「髙」など)ほか、外字が使用されている場合には、データベース化の作業が複雑で、特定の者の検索に時間を要していたところ、氏名のフリガナが戸籍上一意に特定されることで、データベース上の検索等の処理が容易になり、誤りを防ぐことができるようになります。 ② 本人確認資料としての利用 氏名のフリガナが戸籍に記載されることにより、住民票の写しやマイナンバーカードにも記載できるようになり、本人確認資料として用いることができるようになるほか、正確に氏名を呼称することが可能な場面が多くなります。 ③ 各種規制の潜脱防止 金融機関等において氏名のフリガナが本人確認のために利用されている場合があるところ、複数のフリガナを使用して別人を装い、各種規制を潜脱しようとするケースがありましたが、氏名のフリガナが戸籍上一意に特定されることで、このような規制の潜脱行為を防止することができます。 3.戸籍に氏名のフリガナが記載されるまでの流れ ① 改製法の施行(令和7年5月26日) 施行日以降、届出をした方についてフリガナが記載されます。 名については本人が届出をすることができますが、氏については原則として戸籍の筆頭者が単独で届出をすることになります。 したがって、配偶者など同じ戸籍にほかの人がいる場合には、届出前によく相談する必要があるでしょう。 なお、届出をしなくても罰則等はなく、②のとおり本籍地の市区町村から通知されるようになっています。 ② 記載する予定のフリガナの通知(①の日以降) 本籍地の市区町村から、住民票等に記載されているフリガナ等を参考に戸籍に記載する予定のフリガナを通知します。 ③ 市区町村長によるフリガナの記載(①の日から1年後) 改正法の施行日から1年以内に届出がなかった場合、②で通知した氏名のフリガナが戸籍に記載されます。 なお、氏名のフリガナについては、家庭裁判所の許可を得て届出をすることによって、戸籍に記載されたフリガナを変更することができますが、③の方法によってフリガナが記載された場合には、一度に限り、家庭裁判所の許可を得ずに変更の届出をすることができます。 4.記載できないフリガナ 氏名のフリガナについては「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」との規律が設けられ、以下のようなものは社会を混乱させるものとして認められないと考えられます。 ① 漢字の持つ意味とは反対の意味による読み方(例:「高」を「ヒクシ」と読む) ② 読み違い、書き違いかどうか判然としない読み方(例:「太郎」を「ジロウ」「サブロウ」と読む) ③ 漢字の意味や読み方との関連性をおよそ又は全く認めることができない読み方(例:「太郎」を「ジョージ」「マイケル」と読む) 5.おわりに 制度開始にあたって、既に他の行政手続等で使用している氏名のフリガナと改正法の施行によって記載される戸籍上のフリガナに食い違いがあると、不都合が生じる可能性もありますので、旅券(パスポート)などで使用している氏名のフリガナについては、事前に確認しておくようにしましょう。
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