2021/4/5

戸籍にもいろいろ種類があるんだけど何が違うの?

相続登記(相続による不動産の名義変更)をはじめとする相続手続を進めるうえで、誰が相続人なのかを確定させなければならない場合があります。そのために行うのが戸籍の調査ですが、市役所に行って戸籍を取得しようとしても、様々な種類の戸籍があるため、一体、その戸籍を取ればいいのかわからなくなる場合があるかもしれません。
 
今回は、戸籍の種類について説明します。
 
 
 
 
 
戸籍にもいろいろ種類があるんだけど何が違うの?
  
 
目次
1.全部事項証明(戸籍謄本)・個人事項証明(戸籍抄本)
2.一部事項証明
3.除籍謄本
4.改製原戸籍
5.戸籍の附票
 
 
 
1.全部事項証明(戸籍謄本)・個人事項証明(戸籍抄本)
 
 
1つの戸籍に記載されている全員について証明したものを全部事項証明(戸籍謄本)、1つの戸籍に記載されているうちの特定の人(1人または数人)についてだけ証明したものを個人事項証明(戸籍抄本)といいます。
 
なお、全部事項証明書と戸籍謄本、個人事項証明書と戸籍抄本のそれぞれの使い分けですが、現在、ほとんどの自治体では戸籍の記載内容が電子データ化されており、その電子データに基づいて証明したものを全部事項証明・個人事項証明、電子データ化する前の戸籍の写しによって証明したものを戸籍謄本・戸籍抄本といいます。ただ、窓口などで戸籍を請求する場合には、これらを厳密に使い分けなくても通用しますので、あまり深く考える必要はないでしょう。
 
 
 
2.一部事項証明
 
 
戸籍に記載された全員または特定の人について、戸籍に記載された事項のなかで証明を必要とする事項(婚姻事項、死亡事項等)だけを抜粋して証明したものを一部事項証明といいます。一般的な相続手続において、一部事項証明を取得することはほとんどないといってよいでしょう。
 
 
 
3.除籍謄本
 
 
戸籍に記載されている人が他の市区町村に本籍地を移したり・婚姻・死亡などによって戸籍から除かれることを除籍といいますが、戸籍に記載されている全員が除籍となった戸籍はすぐに廃棄されるわけでなく150年間保存されます。この除籍となった戸籍のことを、一般的に除籍謄本といい、それ以外の戸籍と区別しています。なお、除籍となった戸籍についても、全部事項証明・個人事項証明、戸籍謄本・戸籍抄本などの区別があります。
 
 
 
4.改製原戸籍
 
 
戸籍法の改正等により様式が改められて戸籍を作り変えた場合に、その作り変える前の戸籍のことを「改製原戸籍」といいます。読み方は「かいせいげんこせき」ですが、実務上は「改製」の部分は省略し、さらに「現戸籍」(現在の戸籍)と混同しないように「はらこせき」と読むことが多いです。
 
戸籍制度は戸籍法の改正によって何度か変更が行われており、代表的なものには「平成改製原戸籍」と「昭和改製原戸籍」の2種類があります。
 
 
平成改製原戸籍とは、平成6年の法改正に伴う改製原戸籍のことをいい、この改正によって、戸籍をコンピュータで記録できるようになり、書式も「B4サイズの縦書き」から「A4サイズの横書き」に、記載形式も「文章」から「項目化」に変更されました。
 
昭和改製原戸籍とは、昭和22年の法改正に伴う改製原戸籍のことをいい、それまでの戸籍の基本単位であった「家」が「夫婦」に変更され、「戸主」の欄が「筆頭主」の欄に変わるなどの変更がありました。
 
 
 
5.戸籍の附票
 
 
戸籍の附票とは、婚姻や転籍等の届出によって新しく戸籍が作成されたときに本籍地の市区町村で作成されるもので、住民票の住所を戸籍と一緒に記録したものです。戸籍が作成されてからの住所が記載され、住所を変更した場合には、戸籍の附票に新たな住所が追記されます。住所に変更があった場合でも戸籍が変わらなければ、連続して記載されるため、主に住所の移り変わりを証明する際に利用されます。
 
なお、住民票にも前住所の記載がありますので、住所の移り変わりを証明する際に住民票やその除票を利用することもできますが、何回も住所を変更していると、それぞれの住所を管轄する市役所に住民票の除票を請求することになるため、その分の手数料がかかることや保管期間の経過によって住民票の除票を取得できないこともあります。
 
そのような場合にこの戸籍の附票を利用することがありますが、あくまで戸籍とセットで保管されているものであるため、戸籍が作られてから除籍になるまでの住所しか記載されないことには注意が必要です。