2021/5/6

「みなす」と「推定する」の違い

 
法律の用語でよく見かけるものに「みなす」という表現と「推定する」という表現があります。一見すると似たような言葉ですが、もちろん意味は異なります。
 
「みなす」も「推定する」も、ある事実や法律関係が不明瞭なときに、本来そうでない状態を、法律上、本当の事実や法律関係として取り扱うものです。このような取り扱いを「擬制」といいますが、「みなす」と「推定する」では擬制の強さが異なります。
 
「みなす」とは、本来異なるものを、法令上一定の法律関係につき同一のものとして認定してしまうことをいいます。これは、当事者間の取り決めや反証を許さず、一定の法律関係に関する限りは絶対的に同一のものとして扱うことになります。例えば、「Aとみなす」とされたら、A以外の選択の余地はないということです。
 
一方、「推定する」とは、当事者間に別段の取り決めがない場合や反証が挙がらない場合に、ある事柄について一応の事実関係は法律関係を擬制することです。ただし、この擬制は確定的なものではなく、当事者間に別段の取り決めや反証があれば、擬制された事実や法律関係は覆すことができます。