2021/5/10

遺言書を見つけたら~その時どうする?~

親しい家族が亡くなり、悲しみに暮れる中、故人の遺品を整理していたら、遺言書が見つかった・・・そのような場面に遭遇すると、気が動転して思わず中身を確認したくなるかもしれません。
 
しかし、遺言の種類や状態によっては、その取扱いには注意をしなければならず、取扱いを誤ると過料に処せられる可能性があります。
 
今回は遺言書を発見した時の注意点について説明します。
 
 
 
 
 
 
 
目次
1.遺言書の検認
2.相続人の欠格事由
3.遺言書の開封
 
 
  
1.遺言書の検認
 
 
遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出してその検認を受けなければなりません。もし、遺言書の提出を怠り、検認を受けないまま遺言の内容を執行した場合、5万円以下の過料に処せられるおそれがあるため注意が必要です。
 
ただし、公正証書遺言や法務局において保管されている自筆証書遺言に関して交付される「遺言書情報証明書」については検認を受ける必要はありません。
 
 
 
2.相続人の欠格事由
 
 
民法891条では、相続人となることができない事由(欠格事由)を定めており、その中の一つに「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者」というものがあります。つまり、相続人が故意に遺言書を隠していたりすると、その相続権を失うこととなります。
 
 
3.遺言書の開封
 
 
遺言書に封印がされている場合、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会がなければ開封することはできず、家庭裁判所の外で開封してしまうと5万円以下の過料に処せられるおそれがあります。
 
なお、封印のある遺言書とは、封に印が押捺されている遺言書のことをいい、遺言書が封筒に入っていて糊付けされてはいるものの、封に押捺がなければ封印には当たらないとされています。ただ、だからといって開封しても全く問題がないとは言い切れないため、封印のある遺言書と同じように扱い、開封はせずにそのまま家庭裁判所に提出して、その取扱いを相談することが望ましいでしょう。