2021/12/4
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法定利率について |
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従来の民法では、適用する利率について当事者間での合意がない場合、基本的には年率5%の利率が適用されることになっていました(ただし、商人は仕事として売買をしているので、債務不履行についての責任が一般人よりも重く規定されており、例外として、商人同士の取引には、商事法定利率として6%の利率が適用されることとなっていました)。 しかし、近年の日本では低金利が続いており、この5%や6%という法定利率は、現状の経済情勢とあまりにも乖離があるという指摘がされるようになっていました。 そこで、平成29年に民法が改正され、法の施行時点(令和2年4月1日)での法定利率が、年率3%に引き下げられました。また、民法改正に伴い商事法定利率を年6%とする規定が削除され,商事債権についても民法上の法定利率が適用されることになりました。 ただし、ここでまた法定利率を固定してしまうと、これまでと同じように経済情勢との乖離が生じてしまうことは十分に予測されることです。 そこで、実際の経済情勢に合わせて適切な利率となるように、この3%という利率についても、国内銀行の短期貸出約定平均金利の直近5年間の平均値の変動に応じて、その後3年ごとに1%刻みで変動し得るという変動利率とされました。 このような変動制の利率を採用することにより、市場と法定利率が緩やかに連動していく仕組みとなりました。なお、変動利率の定めの詳細は法務省令で示されます。 なお、改正民法の施行日(令和2年4月1日)よりも前に利息が生じた場合におけるその利息を生ずべき債権に係る法定利率については旧法の規定によることとされています。つまり、改正民法施行日前に利息が生じた場合の法定利率は、旧法の規定により年5%となります。ただ、契約日が令和2年4月1日より前でも、利息が令和2年4月1日以降に発生した場合の法定利率は年3%となる点には注意が必要です。
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