2022/2/2

住所について~地番と住居表示~

 
日本で住所を表示する方法としては、主に「地番による表示方法」と「『住居表示に関する法律』に基づいて実施された住居表示による方法」があります。
 
 
地番による表示は、明治時代の地租改正において課税のために付けられた地番を住所の表示にも代用するというもので、地番と支号(枝番)を用いて「3番地(の)5」などと表記されます。
 
 
しかし、このような地番による住所の表示は、広い土地を分筆(※1)すると支号(枝番)が増え、反対に合筆(※2)をすれば欠番が生じることになります。さらに、区画整理、町村合併、河川改修による河道変更、自治体の境界変更なども加わり、これらが繰り返されるうちに、住宅地によっては地番で目的地に辿りつくことが難しいという事態も生じるようになりました。
 
※1 登記簿上の一つの土地を複数の土地に分けて登記をする手続のこと
 
※2 隣接する2筆以上の土地を合わせて1筆として登記する手続のこと
 
 
そこで、1962年に「住居表示に関する法律」が施行され、この法律による住居表示が実施された地域では、「街区方式」または「道路方式」による表示が用いられるようになりました。ちなみに、この背景の1つに、1964年の東京オリンピック開催までに外国人にもわかりやすいような合理的な住所表示の方法を導入すべきとの機運が高まったことがあったようです。
 
 
住居表示の2つの方式のうち、日本で用いられているのはほとんどが街区方式です。街区方式の表示には、例えば「○○一丁目2番3号(○○1-2-3)」といったものがあり、「○○一丁目」までは町名、「2(番)」を街区符号、「3(号)」を住居番号といい、これらの番号は地番とは無関係に振られます。
 
 
なお、住居表示が実施されていない地域は、引き続き地番を用いて住所を表しています。
 
 
余談ですが、住居表示が実施された地域でも土地の所在については地番で表されます。つまり、地番は土地の場所、権利の範囲を表すための登記上の番号で、住居表示は建物の場所を表す番号と言うことができますが、上述のとおり、住居表示による番号は地番とは無関係に振られるため、「〇〇一丁目2番3号」という住所で表される建物が建っている土地の所在は「〇〇一丁目1234番」となっている、というふうに両者の不一致が生じることがあります。
 
 
したがって、住居表示が実施されている地域の土地の登記簿謄本を取得する場合に、土地の所在を住所で特定しても「該当なし」となる場合があるため注意が必要です。そのような場合には「ブルーマップ」(住宅地図の上に、法務局備付の「公図」の内容を重ねあわせて印刷したもので、その内容が青色で印刷されているためブルーマップと呼ばれています。)を使ったり、管轄の法務局に電話をして地番照会を行うことで住所から地番を特定すればよいでしょう。