2022/3/2

地役権って何?

 
地役権とは、自分の土地の利便性を高めるために他人の土地を利用する権利のことを言います。例えば、他人の土地を通らなければ道路に出ることができないといった場合に、この地役権を設定することで他人の土地を通ることができるようになります。ほかにも、送電線を送るための鉄塔を立てたり、用水路から自分の土地まで水を引くなどの目的で行うことがあります。
 
 
この地役権は「人」に与えるものではなく、便益を向上させる自分の「土地(要役地と言います)」に与える権利ですので、いったん設定されると、その後に要役地の所有権が移転した場合、原則として、地役権も移転することになります。つまり、地役権の移転登記を申請する必要はありません。
 
 
この権利を公示するために地役権設定の登記をするのですが、この登記は「要役地」の所有者と「承役地(要役地の便益のために利用される他人の土地)」の所有者が共同して、承役地の所在地を管轄する法務局に申請します。
 
 
 
 
 
地役権の設定登記は承役地の登記簿の乙区になされますが、登記が終わった後の登記簿を見ても要役地の所有者(地役権者)の氏名や住所は登記事項となっていません。これは、前述のとおり、地役権があくまでも土地(要役地)に対して与えた権利であり、その後の要役地の所有権移転に伴って地役権も当然に要役地の所有者に移転するからです。
 
 
なお、設定された地役権の登記を抹消する場合、地役権が設定された他人の土地承役地の所有者を登記権利者、要役地の所有者を登記義務者として、地役権の抹消登記を申請することになります。