2022/5/6

名義株とは

法律上、すべての会社は株主名簿を作成することが義務付けられており、会社は株主名簿により株主が誰かを確認することが原則です。
 
ところが、何らかの事情によって、会社に対する実際の出資者と株主名簿に記載・記録されている株主が異なるケースが生じることがあります。会社に対する実際の出資者と、会社の株主名簿に記載・記録されている株主が異なる株式を「名義株」といいます。
 
 
 
 
名義株って何?解消するにはどうすればいい?
 
 
名義株とは、真実の所有者と名義上の所有者が異なる株式のことです。
 
たとえば、平成2年の商法改正までは、会社を設立する際に7人以上の発起人が必要でした。しかし、実際に出資者を集めることが難しいケースもあり、親族や従業員等から名義を借用して発起人とする場合もあったようです。このようなケースで名義株が生じたものの、そのまま解消されずに現在に至っている会社も存在し、しかも、現在は、そうした名義株主と関わりがなくなっていることも少なくありません。
 
この名義株については、最高裁は、実際に出資をした者を株主であるとしています(昭和42年11月17日最高裁第2小法廷判決)。しかし、設立から長い時間が経ってしまうと、実際に出資したことを証明するための資料が廃棄されていたり紛失しまっていたりして、証明することができない場合もあるでしょう。
 
そうした状況の中で、当該名義株主が株主として株主総会に参加し、議決権を行使したことを内容とする株主総会議事録が存在していたり、あるいは、剰余金の配当をしたことがあったりすると会社を運営するうえで問題が複雑になりかねないため、名義株は解消することが望ましいでしょう。
 
名義株の解消法としては、まず資料を収集するなどして、これまでの経緯を確認することになると思われます。そのうえで、名義株主と交渉し、場合によっては、当該株主から株式を買い取るといった対応をすることになるでしょう。そうした手段をとるうえで、最初に必要となる情報は、名義株主がどこの誰であるのか、また、名義株主と連絡をとることができるのか、という点ですが、会社に備え付けてある株主名簿などを有効に活用することが考えられます。