2023/7/27

任意後見監督人って何をする人?

まだ判断能力が十分に備わっているか、衰えたとしてもその程度が軽く、自分で後見人を選ぶ能力を持っている人が、将来、精神上の障がいにより事理を弁識する能力が不十分な状況になったときに備えて、自分の財産管理、処分、介護等の手配をする後見人を選び、その事務についての代理権を与える契約のことを任意後見契約といいます。
 
ただ、任意後見契約は、契約を締結してもそれだけで効力は発生せず、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じます。すなわち、任意後見人は、任意後見監督人が選任された時から、任意後見契約で委任された事務を本人に代わって行います。では、任意後見監督人とはいったいどのような役割を担っているのでしょうか。
 
今回は、任意後見監督人についての解説です。
 
 
 
任意後見監督人って何をする人?
 
 
 
目次
1.1.任意後見監督人とは
2.2.任意後見監督人の選任について
3.3.任意後見監督人の役割
4.4.任意後見監督人の辞任・解任
 
 
 
1.任意後見監督人とは
 
 
任意後見監督人とは、任意後見人が任意後見契約の内容どおり、適正に仕事をしているかを任意後見人から財産目録などを提出させるなどして監督する人です。さらに、任意後見監督人はその事務について家庭裁判所に報告するなどして、家庭裁判所の監督を受けることになります。
 
 
 
2.任意後見監督人の選任について
 
 
任意後見監督人は、本人、配偶者、四親等内の親族または任意後見の受任者の請求により、家庭裁判所によって選任されますが、その役割等から、本人の親族等ではなく、第三者(弁護士、司法書士、社会福祉士等の専門職や法律、福祉に関わる法人など)が選ばれることが多くなっています。なお、家庭裁判所が任意後見監督人を選任する際には、本人の意見も諸事情の一つとして考慮することになっているため、任意後見監督人の候補者を任意後見契約書に定めておくことも可能ですが、この定めは家庭裁判所を拘束するものではないため、別の人が任意後見監督人に選任されることがあり得ることには注意が必要です。また、任意後見人となる方や、その近い親族(任意後見人となる方の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹)等は任意後見監督人にはなれません。
 
 
 
3.任意後見監督人の役割
 
 
任意後見監督人の役割には次のものがあり、任意後見監督人は任意後見人に対しいつでも事務の報告を求めたり、事務または本人の財産の状況を調査することができます。
 
① 任意後見人の事務を監督すること
 
② 任意後見人の事務について定期的に家庭裁判所に報告すること
 
③ 急迫の事情がある場合に、任意後見人の代理権の範囲内で必要な処分をすること
 
④ 任意後見人と本人との利益が相反する行為について、本人を代理すること
 
 
 
4.任意後見監督人の辞任・解任
 
 
任意後見監督人は、その職責の重要性から、正当な事由がある場合に限って家庭裁判所の許可を得たうえで辞任することができます。

任意後見監督人の不正な行為、著しい不行跡その他その任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は本人やその親族、検察官等の請求により、または職権で、任意後見監督人を解任することができます。