2023/8/14

プリペイド型電子マネーの相続について

近年のキャッシュレス化の波により電子決済サービスの利用が急速に拡大しており、コンビニなどでの支払いに電子マネーを利用する場面をよく見かけるようになりました。
 
電子マネーにも様々な種類がありますが、なかでもSuicaやnanaco、PayPayなどのような、事前にチャージを行うプリペイド型の電子マネーについて、相続の対象となるか否かご存知でしょうか。
 
 
 
 
プリペイド型電子マネーの相続について
 
 
目次
1.プリペイド型の電子マネーとは
2.相続の対象となるかどうかは、各サービスの規約等による
3.おわりに
 
 
 
1.プリペイド型の電子マネーとは
 
 
プリペイド型の電子マネーとは、事前に電子マネーに対応したカードやスマートホンに現金をチャージしておくことで使用できる電子マネーです。
 
チャージすることができる金額には上限が設定されており、電子マネーの種類にもよりますが、2万または5万円と設定されていることが多いです。
 
また、チャージする手間を省けるように、クレジットカードから自動的にチャージする(オートチャージ)機能が付いているものもあります。
 
 

2.相続の対象となるかどうかは、各サービスの規約等による
 
 
プリペイド型の電子マネーにもQRコード形式とカード形式のものがあり、いずれの電子マネーにも財産的価値がありますので、預貯金と同じように相続人が相続できると思われるかもしれませんが、実はこの電子マネーの相続について統一的なルールはなく、サービスを提供する会社の規約に従うことになります。
 
それによるとPayPayのようなQRコード形式の電子マネーは、比較的相続の対象になることが多いです。ちなみに、ほんの少し前までは、相続を認めていない会社が少なからず存在しており、代表的なサービスであるPayPayは、2021年1月に規約の改定を行うまで相続を認めていませんでした。
 
ただ、Famipayに関しては、この記事の投稿時点でも、その規約で「利用者が死亡した場合には、利用資格は喪失され、利用可能残高に関わらず一切の本マネーサービスの利用ができなくなります。この場合、現金の払戻しも行われません。」と定められており相続を認めていません。
 
カード形式の電子マネーについてですが、SuicaやICOCAといった交通系電子マネーは相続を認めていることが一般的です。ただ、会員規約に死亡時の残高の取扱いについてはきちんと明記されていないことが多いため、窓口へ個別に相談する必要があります。
 
そして、カード形式の電子マネーの中でもnanacoやWAONなど流通系の電子マネーには、はっきりと相続を認めていないケースもあるため注意が必要です。
 
例えば、nanacoは、2022年11月15日までは、その規約で「会員が死亡した場合には、会員資格は喪失され、一切のnanaco電子マネーサービスを利用できなくなります。この場合、nanacoカード内残高およびセンター預り残高はゼロとなり、また、現金の払戻しも行われません。」と定めており、相続を認めていませんでした(現在はこの規定は削除されています)。
 
ただ、一方で、WAONは相続の対象となっており、残高確定後に返金するとされています(ただし、WAONポイントはサービスの終了に伴い消滅し、相続の対象とはなっていません)。
 
 
 
3.おわりに
 
 
電子マネーは現金を持ち歩く必要がないため便利ですが、相続の場面において思わぬ損害を被る可能性もありますので、利用の際には各サービスの規約を確認したうえで、1回でチャージする金額についても検討したほうがよいかもしれません。