2023/8/25
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エンディングノートを書いてみませんか? |
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「終活」という言葉を聞いたことがある方は少なくないと思いますが、これは「人生の終わりを見据えた準備をする」だけでなく、「これからの人生をより一層充実させていくための活動」というような意味を含めて使われることが多いようです。 この「終活」の具体的な行動の一つとして、「エンディングノート(終活ノート)」の作成があります。 エンディングノートを書くことで、これからの人生をより充実したものにしたり、家族の負担を減らすことが期待できますので、ぜひ、こちらの記事を参考にしてエンディングノートの作成を検討してはいかがでしょうか。 エンディングノートを書いてみませんか?
1.エンディングノートとは エンディングノートは、もしものときに備えて、自分に関する情報や家族に対する想いなどを書き留めておくノートです。 特段、決まった様式などはないため手元にあるノートを使用しても構いませんが、近頃は、書店や文房具店などで販売されているほか、無料で配布する自治体も増えています。ある程度定型化されているため、何を書いたらいいのか分からないといった場合には市販のものや無料で配布されているものを使用するのもよいかもしれません。 2.エンディングノートに書いておいた方がいいこと エンディングノートに何を書くかは、特に決まりはありませんが、エンディングノートを書き残す最も重要な目的の一つは、遺されたご家族に自分の情報を伝えて、各種手続をスムーズに行えるようにすることによって家族の負担を減らすことですので、そのための情報を記入する必要があります。 ① 医療・介護について ご入院されたときや、いよいよ最期のときを迎えるという段階(終末期)になると、家族は延命措置などの決断を迫られます。その時に家族の精神的負担を減らすためにも自己判断ができなくなった時の対処や希望を決めておくことは大切です。 また、認知症などで意思疎通ができなくなったときのことも考えて、介護のことや費用捻出方法、アレルギーや持病、常備薬についても記入しておくのが望ましいでしょう。 ② 葬儀について 近年は、密葬や家族葬など葬儀の形態も変化しています。通夜・告別式について、規模(一般葬儀、家族葬、直葬など)、宗教・宗派(仏教、キリスト教、神道、無宗教など)、場所(自宅、斎場、寺院など)などがあれば書いておきましょう。 また、菩提寺、互助会、葬儀社などが決まっている場合は、名称、連絡先、会員番号など。生前予約を行っている場合は、その内容について書いておくようにしましょう。 ほかにも、遺影に使ってほしい写真があれば、エンディングノートと一緒に託すようにするのもよいでしょう。 特に葬儀に関する希望がなく、家族に一任する場合は、その人の氏名や連絡先と一任したい旨を記入します。 ③ お墓の情報・希望 お墓がある方は、そのお墓と菩提寺の情報(墓地名、所在地、区画番号など)を、お墓がない方は、どのような埋葬方法(樹木葬、散骨、納骨堂、合祀など)を希望するのか、場所や予算などを書いておきましょう。 ④ 財産・資産について 年金証書や保険証書、介護保険証や健康保険証、通帳・印鑑、貴重品などの保管場所は家族であっても知らないという場合もあるでしょう。保管場所などを書いておけば、遺された家族も見つけやすくなります。 また、預貯金・不動産・株式、国債、投資信託等の金融商品、保険(生命保険、火災・家財保険など)など、保有している資産・財産に関する情報についても記載しておけば、相続の手続において、どういった財産があるのかを調べる手間や負担を軽減できます。 特に、借金も相続財産となるため、家族に想定外の負担をかけないためにも正直に書いておきましょう。 ⑤ 相続・遺言について 遺言を作成しているのであれば、その保管場所を書いておきましょう。もし、遺言を作成してなくても遺産相続について希望があればその内容を書いておくのもよいでしょう。ただし、遺言書とは異なりエンディングノートには法的な効力はありませんので注意が必要です。 ⑥ デジタル遺産 近年では、日常的にインターネットを利用している高齢者も多く、ネットバンキングやネット証券、暗号資産口座やSNSなどのデジタル情報は、本人が亡くなった後、そのままにしておくと半永久的に残ってしまうものです。どうすれば家族にデジタル遺産を残せるか、あるいは家族に見られたくないものがあればどうしておくべきか、プライバシーとセキュリティを保ちながら、万が一自分が亡くなった場合のための準備をしておく必要があります。 もし、家族に相続させることや自分が亡くなった後に退会を頼みたいということであれば、アドレスやアカウント情報(ID・パスワード)を、また、パソコンやスマホにロックをかけている場合には、解除するためのパスワードなども書いておくようにしましょう。ただし、これらの情報は容易に他人に見られないように注意しなければなりません。 ⑦ ペットについて ペットを飼っている場合、特にひとり暮らしであれば、残されたペットを引き取ってきちんと世話をしてくれる人を決めておく必要があるでしょう。その際、ペットに関する情報(性格や好き嫌い、病歴など)も書いておくようにしましょう。場合によっては負担付遺贈を検討してもよいでしょう。 ⑧ 自分の家族や親族、親しい友人や知人について 自分の家族や親族、親しい友人や知人に対する感謝の気持ちや想いを書いたり、自分が亡くなったことを連絡してほしい人がいる場合には、その旨と連絡先を書いておきましょう。 ⑨ 自分自身に関すること 生年月日、本籍地、血液型、家族、家系図、学歴、職歴、資格、自分史、性格や信念、趣味や特技などを書き記すことで、これからの人生における目標などが見つかるかもしれません。 このようにエンディングノートには多くの内容を書くことができますが、これらのことを一気に全部書く必要はありません。エンディングノートを書く目的に応じて必要な部分だけを書いても構いませんし、考えがまとまらない項目については後に回すなど、堅苦しく考えず、ご自身のペースで書き進めていきましょう。 3.おわりに エンディングノートを書くことには、単なる自分自身の覚え書きとしてだけではなく、自分がやっておかなければならないことや、自分がこれからやりたいことの洗い出しや、万一の時に、家族が様々な手続や判断をする際に困らないというメリットがあります。 その一方で、通帳や印鑑の保管場所や各種サービスのパスワードなど、エンディングノートには重要な個人情報が数多く記載されることになりますので、自己責任のもとで、他人に容易には見つからない場所に厳重に保管しましょう。ただ、あまりに見つけにくい場所だといざという時に誰にも見つからないままになる可能性もありますので、誰か信頼できる人物にエンディングノートの存在を教えておくのもよいかもしれません。 また、相続に関する自分の希望を書いても、エンディングノートには法的な強制力はありません。もし、エンディングノートに書いた内容に強い希望がある場合には、別途、遺言作成などの手続をすることも検討しましょう。 そして、エンディングノートは書いたらそれで終わりというわけではありません。定期的に見直して、心境の変化や身体的な変化、資産状況の変化などに応じて書き直すことをお勧めします。 |
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