2023/9/14

任意整理と過払い金返還請求の関係

Q 借金の支払が苦しくて専門家に任意整理を依頼していたのですが、手続を進めていくと過払い金が発生していたことが分かり、結果としては、今後の借金の支払いが不要になるだけでなく、お金が戻ってくることになりました。これは、どういうことなのでしょうか?  
 
 
 
任意整理と過払い金返還請求の関係
 
 
任意整理とは、裁判所などの公的機関を利用せずに弁護士、司法書士などの法律の専門家が債権者と債務者の間に入って、無理なく支払いができるように交渉する手続です。任意整理では、主に月々の返済額・返済期間の調整、将来利息(今後発生する予定の利息)のカットなどを行いますが、利息制限法を越える利率での借入を行っていた方に関しては、払いすぎた利息を残りの元金に充当して借金の額を減らすことも可能です。詳しくは後述しますが、状況によっては、借金がすべてなくなり、逆に業者からお金が戻ってくることもありますが、これがいわゆる過払い金と言われているものです。
 
過払い金がなく、残ってしまった借金については、通常は3年以内で返済できるような計画を組みますが、場合によっては5年程度の長期の計画を組むこともあります。任意整理は、公的機関を利用しないため、ある程度柔軟性のある対応ができるのもこの手続方法の特徴です。
 
過払い金返還請求とは、消費者金融やクレジットカード会社などから利息制限法で決められた利率(法定利率)を超える利率で借金をしていた場合に、毎回の支払額のうち法定利率を超える部分(超過利息部分)が、そのつど借金の元金残高へ充当されて借金が減っていった結果、どこかの時点で借金の元金残高がなくなったにもかかわらず、なお支払いを続けた部分(=過払い金)の返還を求める手続きです。
 
1つの取引において過払い金が発生しているかどうかは、手続に着手する時点で完済しているかどうかによって、明らかになる場合とそうでない場合に分かれます。
 
まず、手続に着手する時点で、その業者からの借入を完済している場合、取引中に法定利息を超える取引が一部でも含まれていれば、過払い金が発生していることは明らかです。
 
次に、手続に着手する時点まだその業者に対して支払いをしている場合ですが、この場合には、法定利息で計算をし直してみなければ過払い金が発生しているかどうかは分かりません。つまり、法定利息で計算をし直した結果、まだ借金が残るようであれば、過払い金は発生しておらず(=任意整理)、逆に過払い金が発生していれば、借金は残っていない状態となります。
 
ちなみに、法律事務所や司法書士事務所のCMなどで、問い合わせをすれば過払い金の有無が確認できますと言っていることがありますが、消費者金融やクレジットカード会社などに保管されている取引履歴がなければ、実際に過払い金が発生しているかどうかや、発生している場合の金額などは判明しません。取引履歴を取り寄せるのにも時間がかかりますので、問い合わせの時点では、その事務所の過去の実績をみて過払い金の発生の有無や金額の目安を示すことくらいしかできないのではないかと思いますし、その話を鵜吞みにして調査を進めたとしても、取引の経過は一人一人異なりますので、当初の問い合わせの時に聞いていた内容と違う結果が出る場合があることにも注意が必要です。