2023/9/16

遺産の一部のみを記載した遺産分割協議書を作成することはできる?

Q 相続人全員で遺産分割協議を行った結果、例えば先に不動産のみの協議がまとまった場合に、不動産だけの遺産分割協議書を作成することは可能でしょうか?それとも遺産の全部について遺産分割協議がまとまらないと遺産分割協議書は作成できないのでしょうか? 
 
 
 
遺産の一部のみを記載した遺産分割協議書を作成することはできる?
 
 
相続が開始すると、相続人が複数いる場合や遺言がない場合は、遺産の分け方について相続人全員で話し合いをする必要があります。この相続人全員で行う話し合いのことを遺産分割協議といい、その話し合いで合意ができた内容を取りまとめた書面を遺産分割協議書といいます。
 
一般的には、相続人全員で遺産全部(不動産、預貯金、有価証券等)について話し合った内容を遺産分割協議書として作成することになりますが、必ずしも同時に遺産全部について合意ができるとは限らず、遺産の一部だけ先に協議が成立する場合があるかもしれません。あるいは、遺産全部について遺産分割協議が成立したうえで、あえて一部の遺産のみを記載した遺産分割協議書を作成したいと考える場合があるかもしれません。
 
このような場合に、遺産の一部のみを記載した遺産分割協議書を作成することは可能なのでしょうか。
 
結論としては、そのような遺産分割協議書を作成することも可能です。
 
例えば、法務局に相続登記を申請する際に、相続した不動産のみを記載した遺産分割協議書を、別途、作成してそれを法務局に提出する場合などです。実際、かなり前に開始した相続について、不動産だけ相続登記をしていなかったような場合に、不動産のみの遺産分割協議書を作成する場合もあります。
 
また、遺産分割協議書は、不動産や預貯金、有価証券など遺産の相続手続に使用しますので、それぞれの手続をする際に遺産全部の記載がある遺産分割協議書を提出すると、手続先とは無関係な財産の状況も知られることになります。
 
このような場合に、遺産の内容をあまり知られたくないときは、各種遺産の相続手続用として、遺産全部を記載した遺産分割協議書とは別に、遺産分割協議書を作成することが考えられます。
 
もっとも、すでに遺産全部の内容が把握できているような場合には、基本的には、遺産全部についてまとめて遺産分割協議をしたうえで、遺産全部の記載がある遺産分割協議書を作成することをお勧めします。
 
というのも、遺産の一部についてだけ遺産分割協議をしても、いずれ残りの遺産についても遺産分割協議を行う必要があり、その際に、先に行われた一部の遺産分割をどのように反映させるべきかという新たな問題が発生する可能性もあります。
 
場合によっては、過去に済んだはずの遺産分割協議に影響を及ぼすことがないとはいえません。また、作成する書面が多くなれば、その分手間がかかることや、作成した遺産分割協議書相互の内容に矛盾がないように注意する必要もあります。
 
遺産の一部のみの記載がある遺産分割協議書に問題があるわけではありませんが、例えば、近いうちに不動産の売却をすることが決まっている場合のように、手続を急ぐ必要があるようなケースもありますので、その時の状況次第で検討するほかないでしょう。