2023/9/21
|
|||||
相続登記の登録免許税を計算するときのポイント |
|||||
相続登記をご自身で申請する場合、申請書や添付書類とともに必要となるのが登録免許税です。登録免許税については、法務局に登記を申請した後に通知が来るわけではなく、あらかじめご自身で計算したうえで納めなければなりません。その際、もし不足がある場合には、後で不足分を追加で納めなければなりませんし、多く納めすぎていれば還付の手続をして返金を受けることになります。いずれにしても、登録免許税の計算を誤るとその後に余計な手間が増えてしまいますので、計算を間違えないことが肝心です。 今回は、相続登記を申請する際に必要な登録免許税の計算についてポイントをお伝えします。 相続登記の登録免許税を計算する際のポイント
1.相続登記の「課税価格」とは固定資産税の評価額 相続登記を申請するときの登録免許税については、原則として「課税価格」に登録免許税率を掛けて計算しますが、このときの「課税価格」とは固定資産税の評価額を指します。 固定資産課税明細書に「評価額」と記載されていれば分かりやすいのですが、自治体によっては「価格」と記載されている場合もありますので注意しましょう。 また、「評価額」は「固定資産税課税標準額」とは異なります。「固定資産税課税標準額」は固定資産税を計算するうえで用いられますが、相続登記の登録免許税を計算するときは「評価額」が用いられますので、間違えないようにしましょう。 評価額は、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に記載されていますが、市町村の役所で取得できる「固定資産評価証明書(価格通知書)」を見ることでも確認することができます。 ただし、例えば、自宅の土地建物のほかに、私道(公衆用道路)がある場合には注意が必要です。基本的には、このような私道(公衆用道路)には固定資産税が課税されないため、自治体によってはそもそも評価額が記載されていない場合があります。私道については固定資産税が課税されない場合でも、相続登記を申請する際の登録免許税は課税されますので、私道についても、何らかの形で評価額を計算する必要があります。具体的な方法については、その土地を管轄する法務局に問い合わせをして確認するようにしましょう。 2.共有である場合には、評価額にその持分を掛ける 土地や建物のうち、亡くなった方が持分を持っていた場合には、その持分を相続することになりますので、評価額についても持分に相当する額を計算し、それから登録免許税を計算します。 例えば、評価額1,000万円の土地の2分の1の持分を亡くなった方が所有(共有)していた場合、その持分の評価額は「1,000万円×1/2=500万円」となります。
3.「課税価格」は1,000円未満を切り捨てる 相続登記の課税価格は申請する土地や建物の評価額合計額から1,000円未満を切り捨てた額を記載します。この時、先に評価額を合計した後、最後に1回だけ1,000円未満を切り捨てることに注意しましょう。 例えば、土地の評価額が1,000万5,500円、建物の評価額が500万2,850円の場合、評価額の合計が「1,000万5,500円+500万2,850円=1,500万8,350円」となりますので、課税価格は1,000円未満を切り捨てた「1500万8,000円」となります。
4.「課税価格」に登録免許税率を掛ける 評価額を合計した額の1,000円未満を切り捨てた「課税価格」に登録免許税率を掛けます。相続登記の場合、登録免許税率は4/1000ですので、「課税価格」が1,500万8,000円の場合、「1,500万8,000円×4/1000=6万32円」となります。
5.「登録免許税」は100円未満を切り捨てる 課税価格に登録免許税率を掛けて計算した額の100円未満を切り捨てた額が「登録免許税」の額です。上記4.の例で「課税価格」に登録免許税率を掛けて計算した「6万32円」の場合は、100円未満を切り捨てた「6万円」が「登録免許税」の額となります。
6.その他の注意点 (1)登録免許税を納める際の収入印紙には割り印をしないこと 登録免許税は、登記申請書の余白または別紙に収入印紙を貼り付けて納めますが、この際には収入印紙に割り印をしないように注意しましょう。また、収入印紙は登録免許税の額と同じ額を貼り付けるようにしましょう。収入印紙はさまざまな額面がありますので、必要な金額に達するよう、何枚かの収入印紙を組み合わせて貼り付けます。 (2)建物が未登記の場合、いきなり相続登記はできない 建物の中には、表題登記がされていない(未登記)場合があります。その場合は、いきなり相続登記をすることはできず、まずは建物表題登記をする必要があります。相続登記を申請する前に法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)の交付を請求して確認するようにしましょう。もし、登記事項証明書が取得できれば、未登記ではないことが分かります。なお、建物表題登記は「土地家屋調査士」に依頼すれば申請手続を代理してもらえます。 7.相続登記の登録免許税が免税される場合もある 以上が、基本的な相続登記の登録免許税を計算するときのポイントですが、このほか、相続登記の登録免許税は一定の要件を満たした場合に免税となる場合があります(令和4年度の税制改正で令和7年3月31日まで延長され、免税を受けられる要件も拡大されています)。 詳しくは、不動産の所在地を管轄する法務局などに問い合わせるようにしましょう。 相続登記の登録免許税が免税される要件については、令和4年度の税制改正でその期限が令和7年3月31日まで延長されており、また免税を受けられる要件も拡大されています。 詳しくは法務局のホームページ等をご確認ください。 |
|