2023/9/26

個人再生における清算価値保障の原則とは?

 個人再生は、借金の大幅に減額して、減額後の借金を原則として3年間で分割返済していく手続ですが、その際、どれくらいの減額が可能となるか、言い換えればいくら返済すればいいのかは,いくつかのルールによって決められることになります。そのルールの一つに「清算価値保障の原則」というものがあり、保有している財産の状況によっては、減額できる借金の額に大きな影響を及ぼすことがあります。
 
 
 
個人再生における清算価値保障の原則とは?
 
 
目次
1.個人再生とは
2.清算価値保障の原則
3.どのような財産が清算価値の対象となるのか?
4.おわりに
 
 
 
1.個人再生とは
 
 
個人再生とは、借金の支払が不能となるおそれがある場合に、裁判所に申し立てて認可を得ることにより、元金や利息などを含めた借金総額を大きく減額する手続きで、場合によっては、8~9割まで借金を減らすことも可能です。
 
減額できた借金については、あらかじめ裁判所に提出した返済計画に基づいて、原則として3年間の分割によって返済することになります。
 
裁判所を通じた手続でも、自己破産とは違い、個人再生では、原則として財産を処分する必要がありません。また、マイホームの住宅ローンが残っている場合でも、住宅ローン特則を使えば、ローンの返済を続けることで、そのまま住み続けることが可能であることも大きな特徴です。
 
 
 
2.清算価値保障の原則
 
 
個人再生では大幅な借金の減額も可能となる一方で、最低限、弁済しないといけない金額(最低弁済額)についていくつかのルールが定められており、その一つが「清算価値保障の原則」というものです。
 
清算価値とは、簡単にいえば「自分の財産をすべて処分した場合に得られる金額」です。実際に売却などの処分をする必要はありませんが、仮に売却するなどして処分した場合に、どれくらいの価値があるかという点に着目し、個人再生では、この清算価値を超える金額について、最低限支払わなければいけないというルールがあります。
 
個人再生では、基本的に財産を手放す必要がありませんが、この点について債権者側から見た場合、保有している財産が多いにもかかわらず、それらは一切処分しないで済む一方、借金だけが大幅に減額されるとしたら、到底納得できるものではありません。
 
そのようなことが認められるのであれば、財産を処分して得られる金額を債権者に配当する手続である「自己破産」をしてもらうほうが、債権者が回収できる金額が高くなる可能性があります。
 
このように、債権者が不利益を受けないように「清算価値保障の原則」が定められています。
 
 
 
3.どのような財産が清算価値の対象となるのか?
 
 
清算価値として計上される財産は、以下のようなものがあります。ただし、財産によってはその価値(金額)をすべて清算価値として計上するわけではなく、一定のルールに従って計算した額を清算価値とすることになります。もっとも、この一定のルールについても、各裁判所によって異なる場合があるため注意が必要です。
 
① 現金

手元現金については、99万円を超える部分が清算価値となります。
 
② 預貯金

預貯金については、20万円を超える分が清算価値となります。
 
③保険の解約返戻金

生命保険などの解約返戻金がある場合、その額が20万円を超える場合にはその超えた部分が清算価値となります。
 
④退職金債権

会社勤めの方などで、その会社に退職金制度がある場合、退職金の支払見込額の8分の1が清算価値となります。なお、個人再生をする場合に、実際に会社を辞めて退職をもらう必要はありません。
 
⑤自動車・バイクなど

自動車やバイクについては査定額が清算価値となります。もっとも、年式が古い場合は参入しないこともありますが、その場合でも、外国車や排気量によっては清算価値の対象となることがあります。
 
⑥不動産

自宅の土地や建物などの不動産については、固定資産評価額や専門業者による査定額が清算価値となります。ただし、住宅ローンが残っている場合は、評価額や査定額からローン残額を控除することになります。
 
上記のほか、給料から天引きされている積立金や他人に対する貸付金や求償金、売掛金等が清算価値の対象となります。
 
なお、生活に必要不可欠な家財道具などは、清算価値の対象からは外れますので、その価値を計上する必要はありません。
 
 
 
4.おわりに
 
 
個人再生における最低弁済額については、財産を処分する必要はない代わりに、最低限、保有している財産の価値以上の金額は返済しなければならないという清算価値保障の原則があるため、借金を8~9割まで減らせると考えていても、財産状況によっては思うように借金が減らないこともあります。
 
もっとも、清算価値保障の原則によって最低弁済額が高額になった場合でも、その他に何か考慮すべきやむを得ない事情があれば、3年間の分割期間を延長するなどの対処法が考えられます。
 
いずれにしても、個人再生は債務整理の中でも複雑で時間もかかるうえに、その間のスケジュール管理も求められるため、なるべく専門家を頼ることをお勧めします。
 
 
 
 

 
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