2023/10/18

数回にわたる住所移転がある場合の住所変更登記

引っ越しなどの理由で、当初不動産を購入した時に登記した住所と現在の住所が異なるケースは多く見られますが、もし、登記簿上の住所から現在の住所に至るまでに何回も住所が変わっている場合、その住所変更登記はどのようにするのでしょうか。
 
今回は、数回にわたる住所移転がある場合の住所変更登記について解説します。
 
 
 
 
数回にわたる住所移転がある場合の住所変更登記
 
 
 
目次
1.不動産登記において、数回の住所移転があった場合の住所変更登記
2.商業登記における代表者等の住所変更登記
 
 
1.不動産登記において、数回の住所移転があった場合の住所変更登記

例えば、土地の登記簿上の住所がA町1番地となっている場合において、平成25年5月1日にB市2番地に住所を移転し、さらに令和5年1月10日にC町3番地に住所を移転しているような場合を考えてみます。
 
このとき、それぞれの移転日を原因として、2回の住所変更登記をするということも考えられますが、実務上は、便宜、最終のもののみを申請書に記載して登記を申請します。
 
上記の例でいうと、令和5年1月10日の住所移転を原因として、C町3番地を新たな登記簿上の住所とする登記を申請します。つまり、中間の住所移転については、登記を省略することになるわけですが、1回の登記申請で済むことから登記申請の際の登録免許税も1件分で済むことになります。
 
ただし、この場合の登記申請時の添付書類には、登記簿上の住所から現在の住所までのつながりを確認できる住民票(除票を含む)や戸籍附票などが必要となることに注意が必要です。
 
(参考)昭和32.3.22民甲423
「登記名義人の表示〔住所〕の変更が数回にわたってなされている場合には、1個の申請により、直ちに現在の表示〔住所〕に変更の登記を申請することができる。なお、この登記を申請するには、申請書に、登記原因及びその日付を併記し(ただし、同種の登記原因(例えば、住所移転)が数個存するときは、便宜その最後のもののみを記載してもさしつかえない。)、各変更を証する書面を添付するのが相当であり、登録税は、1件として徴収すべきである。」
 
 
 
2.商業登記における代表者等の住所変更登記
 
 
会社の登記簿では、株式会社の代表取締役、合同会社の代表社員などは氏名だけでなく住所も登記事項となっています。したがって、もし、代表者が引っ越しなどにより住所が変わったときは、その変更登記の申請を法務局に対して行う必要があります。
 
ここで、前記の例と同じように、代表者の登記簿上の住所がA町1番地となっている場合において、平成25年5月1日にB市2番地に住所を移転し、さらに、その登記をしない間に令和5年1月10日にC町3番地に住所を移転していたとします。
 
不動産登記であれば、便宜、最後の住所のみを記載して住所変更登記をすればよいのですが、商業登記における代表者の住所変更については、このような中間省略の取り扱いは認められていません。つまり、それぞれの住所移転について、その移転の日付を原因として住所変更の登記をすることになります。
 
同じ登記でも不動産登記と商業登記では取り扱いが異なりますので、注意が必要です。