2023/10/20

行政区画の変更があった場合の住所変更登記の要否

Q.不動産登記簿上の住所は「A郡B町1番地」ですが、何年も前にC市に合併されており、現在の住所は「C市B町1番地」です。この場合、住所変更の登記は必要ですか?
 
A.行政区画に変更は生じていますが地番に変更はないため、住所変更登記は不要です。
 
 
 
 
 
行政区画の変更があった場合の住所変更登記の要否
 

行政上の単位である都道府県,郡,市,区,町,村の区域のことを「行政区画」といいますが、たとえば甲村が乙町に合併された場合や,甲村・乙町・丙町を合併して新たに丁市を設置した場合のように,行政区画の地理的範囲に変更が生じる場合があります。このような行政区画の変更があった場合の住所変更登記の要否については、町名の後に続く地番に変更があるかどうかによって結論が変わります。
 
 
・行政区画の変更はあったが、地番は変更されていない場合
 
この場合、住所変更登記は不要です。これは、不動産登記規則92条により、地番の変更を伴わない行政区画又はその名称の変更があった場合には、所有権登記名義人の表示は、変更の登記があったものとみなされるためです。設問のケースでは行政区画に変更は生じたものの、地番に変更はないため、住所変更登記は不要ということになります。
 
 
・行政区画の変更に伴い、地番も変更されている場合
 
この場合には住所変更登記が必要です。なお、この場合には市町村の役所で「行政区画変更証明書」、「町名地番変更証明書」といった行政区画の変更により住所に変更があったことの証明書を発行し、それを登記申請の際に添付することで登録免許税が非課税となります。ただし、登記申請書には非課税の根拠条文である「登録免許税法5条5号」と記載しなければならないことには注意が必要です。
 
 
・区制施行の場合
 
政令指定都市の区制施行に伴い、登記名義人の住所に変更があった場合も、区制施行のみで地番に変更がないときは住所変更登記は不要です。
 
 
 
2.住居表示実施に伴う住所変更登記の要否