2024/1/14
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もっと便利に!公正証書作成のデジタル化について |
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法務省においては、公正証書の作成に係る一連の手続についてデジタル化を実現するため、準備を進めています。 これにより、どのようなことが可能になるのでしょうか? もっと便利に!公正証書作成のデジタル化について
1.公正証書とは 公正証書とは、法律行為その他の私権に関する事実について公証人が作成する証書のことで、遺言のほかにも金銭貸借、売買、賃貸借などの場面で活用されています。 公正証書の特徴として、①公文書として高い証明力がある、②原本が公正・中立な第三者機関で保管される、③金銭支払等を目的とし、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述がされた場合に執行力(裁判所で強制執行を行うことのできる効力)が付与されるといった特徴があり、私的紛争の防止や私的な法律関係の明確化・安定化に役立っています。 特に、公正証書で作成された遺言は、方式不備によって無効になるおそれや破棄・変造・隠匿のおそれがなく、また、家庭裁判所で検認の手続を経る必要がないため、相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができます。 このようなメリットがある公正証書ですが、遺言などの作成に係る一連の手続は、対面・書面での手続が必要で、デジタル化には対応できていないのが現状です。 そこで、現在、法務省では公正証書に係る一連の手続のデジタル化を図り、公証役場に出頭をせずにウェブ会議・電子署名を利用して公正証書を作成することや、証明書を電子データで受領することが可能にする仕組みの準備が進められています。 2.公正証書のデジタル化 公正証書制度の現状とデジタル化による新たな仕組みの概要は以下のとおりです。 (1)嘱託(申請) <現行の仕組み> 公証役場に出頭して嘱託を行うことや印鑑証明書等の書面の提出が必要 <デジタル化による新たな仕組み> インターネットを利用して、電子署名を付して嘱託を行うことを可能とする (2)嘱託人の陳述、内容確認等 <現行の仕組み> 公証人が対面で、嘱託人の陳述聴取、真意確認、内容の正確性の確認等を行う <デジタル化による新たな仕組み> 嘱託人が希望し、かつ、公証人が相当と認めるときは、ウェブ会議の利用を可能とする (3)公正証書(原本)の作成・保存 <現行の仕組み> 公正証書原本を書面で作成・保存し、また嘱託人・公証人の署名・押印が必要 <デジタル化による新たな仕組み> 電子データでの作成・保存を原則とし、電子署名(嘱託人はより簡易な方法も利用可)を行うこととする。 (4)正本・謄抄本の交付 <現行の仕組み> 公正証書の正本・謄抄本を書面で交付 <デジタル化による新たな仕組み> 電子データでの受領を選択することを可能とする(書面での交付も引き続き選択可能とする) 3.おわりに デジタル化による新たな仕組みが整えば、より公正証書が活用しやすくなることが期待できますが、そのためには利用者側においてもデジタル化に対応するための知識や環境の整備が必要になるかもしれません。令和7年には運用開始が予定されていますが、今後の動きにも注視していきたいと思います。
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