2024/2/9

NPO法人の登記について

「NPO」とは「Non-Profit Organization」又は「Not-for-Profit Organization」の略称で、様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し、収益を分配することを目的としない団体の総称です。
 
阪神・淡路大震災以降、社会の様々な分野において、ボランティア活動をはじめとした民間の非営利団体による社会貢献活動が活発化し、その重要性が認識されています。NPOは、様々な分野(福祉、教育・文化、まちづくり、環境、国際協力など)で、社会の多様化したニーズに応える重要な役割を果たすことが期待されていますが、これらの団体の中には、法人格を持たない任意団体として活動しているところも多数あります。そのため、銀行で口座を開設したり、事務所を借りたり、不動産の登記をしたり、電話を設置するなどの法律行為を行う場合は、団体の名で行うことができないなどの不都合が生じることもあります。
 
そこで、これらの団体が簡易な手続きで法人格を取得する道を開くための法人格付与制度などを創設することを目的として平成10年3月に特定非営利活動促進法が成立し、同年12月に施行されました。
 
 
  
NPO法人の登記について
 
 
目次
1.特定非営利活動法人(NPO法人)制度とは
2.NPO法人の登記事項
 
 
 
1.特定非営利活動法人(NPO法人)制度とは
 
 
特定非営利活動促進法は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、 ボランティア活動をはじめとする市民の自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的として、平成10年12月に施行されました。
 
この法律に基づいて法人格を取得した法人を、「特定非営利活動法人(NPO法人)」と言い、
法人格を取得することによって、法人の名義で各種の取引等を行うことができるようになります。すなわち、団体名義で契約を締結したり、不動産の所有者として登記名義人になるなど、団体がいわゆる「権利能力の主体」となって団体自身の名義において権利義務の関係を処理することができるようになり、団体に対する信頼性が高まるというメリットが生じます。
 
NPO法人を設立するためには、まず所轄庁に申請をして設立の「認証」を受けることが必要です。認証後、登記することによって法人として成立します。
 
 
 
2.NPO法人の登記事項
 
 
NPO法人の登記において、登記する事項は次のとおりです。

①目的及び業務

定款に記載された「目的」、「特定非営利活動の種類」、「事業」を登記します。定款に定めがある場合は、「特定非営利活動に係る事業」だけでなく、「その他の事業」についても登記します。
 
 
②名称

定款に記載された「名称」を登記します。定款に「NPO法人○○○」と定めていれば、そのまま「NPO法人○○○」と登記します。
 
 
③事務所の所在場所

定款に最小行政区画(例:福岡県久留米市)までしか定めていない場合でも、必ず地番まで登記します。また、その他の事務所(登記では「従たる事務所」といいます)を置く場合は、その他の事務所の所在場所も登記します。
 
 
④代表権を有する者の氏名、住所及び資格

平成23年の法改正で、NPO法人は、定款の定めによる理事の代表権の制限を第三者に対抗することができるようになったことに伴い、理事の中で「代表権を有する理事」のみが登記事項となりました(それまでは、定款の定めによる代表権の制限を善意の第三者に対抗することができないとされていたため、理事の全員を「代表権を有する者」として登記をする必要がありました)。
 
したがって、理事長だけが代表権を有する場合には「理事長」だけを登記し、理事全員が代表権を持つ場合には、理事全員を「理事」として登記します。
 
理事長以外にも一部の業務についてのみ代表権を有する理事がいる場合には、代表権を有する理事と代表権の範囲や制限について登記します。
 
なお、監事は代表権を有していないため登記はしません。
 
 
⑤代表権の範囲又は制限に関する定めがあるときは、その定め

定款に「理事長は、この法人を代表する。」「理事長は、この法人を代表し、その業務を総理する。」「理事○○は△△県□□市◇◇町●●番地の従たる事務所の業務についてのみこの法人を代表する。」等の規定がある場合には、代表権の範囲又は制限に関する定めに該当します。理事長のみが該当法人を代表し、それ以外の理事の代表権は制限されたと解されます。
 
 
⑥存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由

定款に存続期間を定めた場合は登記事項となります。法定の解散事由以外に法人独自に解散事由を定めていない場合は、解散事由の登記が不要となることがあります。
 
「資産の総額」の登記について

かつては「資産の総額」がNPO法人の登記事項とされていましたが、平成28年の法改正により削除されたため、現在では登記は不要です。
 
 
また、上記の登記した内容に変更が生じた場合は、その変更登記を行わなければなりませんが、その際、所轄庁の認証が必要な定款変更が伴う場合には、登記申請の添付書類として所轄庁の認証書が必要になりますので注意が必要です。
 
そのほか、NPO法人を解散する場合には「解散及び清算人就任の登記」、解散及び清算人就任登記後、解散時の公告や債権債務の整理等が終了した後には「清算結了の登記」を行うことになります。
 
なお、NPO法人の各種登記については、登録免許税は非課税となっています。
 
 
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