2024/2/16

「成年後見」ってどんな制度?

認知症や知的障がい、精神障がいなどで判断能力が衰えた方を支援するために国が定めた制度として「成年後見制度」があり、そのうち、既に判断能力が衰えた方を支援する制度が「法定後見制度」です。
 
ところで、判断能力が衰えたといっても、その程度は一律ではなく人によってさまざまです。そこで、法定後見制度は、判断能力に応じて類型を分けており、その中でも、日常的に判断能力が欠けている方を支援するための制度として「(成年)後見」があります。 
 
 
 
「成年後見」ってどんな制度?
 
 
 
目次
1.「後見」とは?
2.後見人の代理権
3.後見人の役割
4.家庭裁判所への報告
 
 
 
1.「後見」とは?
 
 
「後見」とは、法定後見制度のうち、精神上の障がい(認知症、知的障がい、精神障がい等)によって判断能力が欠けているのが通常の状態の方を保護するための制度です。家庭裁判所によって選任された(成年)後見人が(成年)被後見人を支援します。
 
 

2.後見人の代理権
 
 
家庭裁判所によって選任された後見人には広範な代理権が自動的に与えられ、被後見人のために預貯金や不動産を管理したり、保険金や年金を受け取ったり、被後見人に代わって様々な契約を結んだりするほか、被後見人が無断で行った法律行為について取消しを求めることができます。
 
ただし、日常生活に関するものについては被後見人が単独で行うことができ、後見人が後で取消しを求めることはできません。
 
また、結婚や離婚、養子縁組、認知などの身分行為や遺言については、後見人が代理して行うことはできません。
 
 
 
3.後見人の役割
 
 
後見人の行う仕事には被後見人の生活や療養面で必要な手続を行う「身上保護」や「財産管理」などがあります。
 
(1)身上保護
 
身上保護とは、被後見人の心身の状態や生活の状況に配慮して、被後見人の生活や健康、療養等に関する法律行為を行うことをいいます。たとえば、被後見人の住居の確保及び生活環境の整備、施設等の入退所の契約、被後見人の治療や入院等の手続などがあります。 
 
 
(2)財産管理
 
財産管理とは、被後見人の財産内容の正確な把握、年金の受領、必要な経費の支出といった出納の管理、預貯金の通帳や保険証書の保管などを行うことをいいます。 被後見人のために必要な費用は、被後見人の財産から支払ってかまいませんが、おおまかな金額を見積もるなどして予算を立てた上で、毎月決められた額を引き出し、その中でやりくりするようにしましょう。
 
 
 
4.家庭裁判所への報告
 
 
後見人の業務や管理する財産について家庭裁判所への報告が義務付けられています。報告書については家庭裁判所に定型の書式があるため、それを利用すればそこまで難しいことはないでしょう。ただし、日頃から家計簿や金銭出納帳をつけたり、領収書を保管するなどして財産の管理状況をきちんと記録しておくことが必要です。

後見人は幅広い権限を持つため、被後見人の財産全体をきちんと管理して、本人が日常生活に困らないように十分に配慮していかなければなりません。また、被後見人が所有している居住用不動産について、売却・賃貸・増改築・抵当権の設定などを行う場合には、必ず事前に家庭裁判所の許可を得なければならないことにも注意が必要です。