2024/2/29

農地法の許可書を紛失した場合の所有権移転登記について

田や畑などの農地について売買や贈与をする場合、農業委員会あるいは都道府県の許可(届出)が必要であり、また、農地の所有権移転登記を法務局へ申請する際には、原則として農地法の許可書を提供しなければなりません。(なお、相続による所有権移転登記を申請する倍などのように一定の手続では農地法の許可が不要な場合もあります)
 
ところで、農地法の許可が出たにもかかわらず、実際に登記をするまでに時間が空くと、受け取ったはずの許可書を紛失してしまうこともあり得るでしょう。そうなると、いざ登記をしようとする段階になって「農地法の許可書が無い!どうしよう!」ということにもなりかねません。
 
この点、農地法5条の許可書を紛失したケースにおいて、所有権移転登記申請書には①再交付を受けた農地法の許可書又は②許可があった旨の県知事の証明書を添付させるのが相当であるという登記先例があります(昭和40年12月4日民事三発849号回答)。
 
なお、平成28年4月1日以降、農林水産大臣が指定する市町村においては、都道府県知事に代わり市町村(または農業委員会)が農地転用許可を行うようになっています。そのような市町村では、例えば、過去に都道府県から受けた農地法5条の許可書を紛失した場合でも、許可があった旨の証明書は市町村長(または農業委員会)から交付を受けることになります。