2024/3/3

実質的支配者リストの制度について

公的機関において法人の実質的支配者に関する情報を把握することについては、法人の透明性を向上させ、マネーロンダリング等の目的による法人の悪用を防止する観点から、FATF(金融活動作業部会。 Financial Action Task Force)の勧告や金融機関からの要望等、国内外の要請が高まっているところです。
 
こうした要請を踏まえ、法人設立後の継続的な実質的支配者の把握についての取組の一つとして、実質的支配者リスト制度を創設し、令和4年1月31日から制度を開始しています。
 
 
 
実質的支配者リストの制度について
 
 
 
目次
1.実質的支配者リストとは
2.制度を利用するメリット
3.制度を利用することができる法人
4.対象となる実質的支配者
5.手続の流れ
 
 
 
1.実質的支配者リストとは
 
 
実質的支配者リストとは、株式会社の実質的支配者の氏名やその保有する議決権などが記載されたリストです。
 
この制度を利用すれば、株式会社が作成した実質的支配者リストについて、法務局で所定の添付書面による確認を行ったうえで、その写しに登記官の認証文を付けた証明書の交付をうけることができます。
 
 
 
2.制度を利用するメリット
 
 
実質的支配者リストの内容については、法務局の登記官が確認を行っているため、金融機関等の提出先にとっては、公的に証明された信頼性の高い実質的支配者情報を取得することができます。
 
また、実質的支配者リストは再交付を受けることができるため、株式会社にとっては、金融機関等に提出することが必要な場合にスムーズに手続を進めることが可能になります。
 
 

3.制度を利用することができる法人
 
 
実質的支配者リストの制度を利用することができるのは、株式会社(特例有限会社を含む)に限られ、合同会社などの持分会社や一般社団法人、一般財団法人等は利用することができません。
 
 
 
4.対象となる実質的支配者
 
 
この制度の対象となる実質的支配者とは、次の①又は②のいずれかに該当する者になります。
 
① 会社の議決権の総数の50%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合を除く。)
 
② ①に該当する者がいない場合は、会社の議決権の総数の25%を超える議決権を直接又は間接に有する自然人(この者が当該会社の事業経営を実質的に支配する意思又は能力がないことが明らかな場合を除く。)
 
ただし、ここでいう「自然人」には、国、地方公共団体、人格のない社団又は財団、上場会社等及びその子会社などの「法人」が該当する場合もあります。
 
 
5.手続の流れ
 
 
(1)会社による申出
 
実質的支配者リストの写しの交付を受けるためには、管轄の法務局に実質的支配者リストの保管及び写しの交付の申出をする必要があります。具体的な流れは次のとおりです。
 
①実質的支配者リストの作成
 
②申出に必要な申出書と添付書面の準備
 一般的な添付書面としては、株主名簿の写しや申出をする会社の代表者の本人確認書面があります。
 
③管轄の法務局へ持参または送付して申出
 手数料は無料です。また、代理人による申出も可能です。この場合、委任状が必要となります。
 
 
(2)法務局での確認・交付
 
登記官が申出の内容を確認のうえ、実質的支配者リストを保管します。申出をした会社には、登記官の認証文付きの実質的支配者リストの写しが交付されます。
 
 
(3)利用
 
交付された実質的支配者リストの写しを金融機関等に提出します。(2)で保管された実質的支配者リストについては、その写しの再交付の申出をして、再交付を受けることができます。
 
 

以上、実質的支配者リストの制度の解説でした。
なお、令和6年4月1日以降、司法書士等との一定の取引時確認においても、法人の実質的支配者の申告が必要となります。円滑な取引に備えて、あらかじめ1年に1回程度、保管・交付の申出をしておくことをおすすめします。