2024/3/16

外国人が不動産を購入した時などにおける外為法の届出について

 外国の方が日本国内にある不動産を購入するケースは決して珍しいものではありません。もちろん、日本人と同様に所有権を取得することや登記をすることも可能です。ただし、不動産を購入した外国の方が国内に住んでいない場合には、別途、外為法の届出が必要です。
 
 
 
外国人が不動産を購入した時などにおける外為法の届出について
 
 
 
目次
1.不動産取得に関する外為法の届出
2.届出の期限・方法
3.報告書の提出が不要な場合
4.おわりに
 
 
 
1.不動産取得に関する外為法の届出
 
 
外国為替及び外国貿易法(外為法)では、非居住者(※)が日本国内にある不動産又はこれに関する権利(賃借権等)を取得した場合には、その非居住者に対して、本人等の居住の用に供するなどの一定の要件に該当する場合を除き、事後的に財務大臣への報告書の提出が義務付けられています。
 
「非居住者」とは?
居住者とは、日本国内に住所又は居所を有する個人及び日本国内に主たる事務所を有する法人その他の団体(外国法人の日本国内にある支店等を含む)をいい、「非居住者」とは、居住者以外の個人及び法人その他の団体をいいます。外為法にいう「非居住者」は、居住の実体から判定するものであるため、単に住民登録や在留資格があるかないかというだけで判定するものではありません。また、国籍も判定の基準とはならないため、日本人であっても「非居住者」に該当する場合もあります。
 
 
 
2.届出の期限・方法
 
 
報告書は、日本国内にある不動産又はこれに関する権利の取得後20日以内に、日本銀行を経由して財務大臣に提出する必要があります。
 
報告書の作成・提出は、取得者である非居住者自身だけでなく、居住者である代理人(不動産仲介業者等)による作成・提出も可能で、書面のほかにオンラインシステムによることもできます。
 
 
 
3.報告書の提出が不要な場合
 
 
報告書は。いわゆる投資目的で取得した場合に提出する必要があり、以下のいずれかに該当する場合には提出する必要はありません。
 
①非居住者本人又は非居住者の親族若しくは使用人その他の従業員の居住用目的で取得した場合
 なお、別荘やセカンドハウスは「居住用目的」には該当しないため、報告書を提出する必要があります。
 
②日本国内において非営利目的の業務を行う非居住者が、その業務遂行のために取得した場合
 
③非居住者本人の事務所用として取得した場合
 
④他の非居住者から取得した場合
 
 
 
4.おわりに
 
 
以上、外国人が不動産を購入した時などにおける外為法の届出についての解説でした。
 
すべての外国人が外為法の届出をしなければならないというわけでなく、外国人であっても「居住者」であれば、不動産購入時に外為法の届出は必要ありません。
 
なお、日本人であっても「非居住者」であれば、例えば、日本国内の不動産を別荘として購入する場合には外為法の届出が必要であることには注意が必要です。