2024/5/27

登記完了証ってどんな書類?

通常、相続登記などの不動産登記の手続きが完了すると、法務局から登記識別情報が発行されます。登記識別情報は、登記が完了した際に、新たな登記名義人となった方に通知されるパスワードで、そのパスワードが記載された書面が登記識別情報通知です。これがいわゆる権利証というもので、その後に登記手続きをする際に必要となる非常に大切な書類です。
 
ところで、同じように不動産登記が完了した後に発行される書面に「登記完了証」というものがあります。多くの方は登記識別情報と登記完了証を一緒に保管されておられるため、例えば、不動産の売却時に登記識別情報通知を持ってくるよう伝えられていたのに、勘違いして登記完了証を持ってきてしまう方が時々おられるほど紛らわしい書面です。
 
それでは、この「登記完了証」とは一体どのような書類なのでしょうか。
 
 
 
登記完了証ってどんな書類?
 
 
 
目次
1.登記完了証とは
2.登記完了証に記載される事項
3.登記が完了したことの通知にすぎない
4.おわりに
 
 
 
1.登記完了証とは
 
 
登記完了証とは、申請した登記が完了したときに、法務局から登記の申請人に対して交付される通知です(不動産登記規則181条1項)。
 
申請人が2人以上いるときは、そのうちの1人に通知すればよいとされていますが、売買や贈与などによる所有権移転登記といった「登記権利者(買主・贈与を受ける人)」と「登記義務者(売主・贈与する人)」が共同で申請する場合には、登記権利者と登記義務者の双方に交付されます。
 
なお、登記完了証は「すべての不動産登記」申請において、その登記が完了したときに通知されますので、例えば、所有者の住所変更登記といった登記識別情報が発行されないような登記の場合でも登記完了証だけは通知されることになります。
 
 
 
2.登記完了証に記載される事項
 
 
登記完了証にどのようなことが記載されているかは、その登記が書面申請によって行われたか、電子申請によって行われたかによって異なります。書面申請によるものは受付番号、受付年月日、不動産番号、所在などの情報が記載されますが、電子申請によるものの場合は、書面申請によるものの情報に加えて「登記の目的」や「原因」、「申請人の表示」「登録免許税」など、登記の申請情報(どのような登記を申請したか)が記載されます。
 
 
 
3.登記が完了したことの通知にすぎない
 
 
登記完了証は、あくまで登記が完了したことを通知するためにのみ交付されるもので、登記識別情報(権利書)のように不動産の所有者であることを証明するものではありません。
 
登記識別情報と同じように、紛失した場合に再発行してもらうことはできませんが、だからと言ってその後の何らかの手続で登記完了証が必要な場面はほとんどないと言ってもよく、もし失くしてしまったとしても特段の不利益はありません。
 
なお、登記識別情報であれば交付しないことを希望することはできますが、登記完了証については交付しないことを希望することができません。
 
 

4.おわりに
 
 
以上、登記完了証の解説でした。
 
登記完了証は申請した登記が完了したときの通知ですが、登記事項証明書(登記簿)を法務局で取得すれば登記が完了しているかを確認することができますので、登記識別情報に比べるとその重要度は低いかもしれません。
 
通知された書面自体は、そこまで嵩張るものではありませんので、登記識別情報通知と一緒に保管することをお勧めしていますが、もし処分するということであれば、登記識別情報まで誤って処分してしまうことがないよう注意してください。