2024/7/12
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法務局で登録する会社の印鑑はどんなものでもよい? |
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印鑑登録とは、あらかじめ印鑑を登録することで「これは自分の印鑑である」ということを証明できる制度のことであり、この登録した印鑑は「実印」と呼ばれています。 こうした印鑑登録の制度は個人だけでなく、会社などの法人にもありますが、個人であれば住民票がある市役所等で登録するのに対し、法人の場合は法務局で登録することになります。 今回は、法務局で登録する法人の印鑑についての話です。 法務局で登録する会社の印鑑はどんなものでもよい?
1.法人の印鑑の種類 会社などの法人を運営するために使用する印鑑には、その用途によって様々なものがあり、一般的に必須とされている代表者印、銀行印、角印のほか、日々の業務に役立つ認印やゴム印があります。 ① 代表者印 代表者印は会社にとって非常に重要な大切なものであり、公的機関での手続きや契約書などの重要な場面で使用します。一般的に用いられている代表者印の形状は、丸型で印面は二重円となっており、内枠に「代表取締役印」「代表者印」などの役職名が、外枠には会社名が刻まれています。その形状から丸印と呼ばれることもあります。 また、法人登記の際に印鑑を登録する際に用いるため、会社の実印と呼ぶこともあります。 ② 銀行印 銀行印は、法人の銀行口座を開設する際、金融機関に印鑑を届け出て、預金の引き出しや手形の発行、融資の手続きなど、金融機関との取引の際に使用します。一般的に用いられている形状のものは、代表者印よりやや小さめの丸印で、中央に「銀行之印」、周囲に社名が刻まれています。 ③ 角印 角印は、役所や銀行などの各機関に印鑑を届け出ることはしないものの、社内文書をはじめ請求書や見積書などの社外文書に用いられます。いわゆる認印の一種ですが、法人にとって重要なものである点は代表者印や会社銀行印と同様です。代表者印や会社銀行印とは異なり、四角形の形状で、印面には会社名のみが刻まれています。 ④ 認印 角印も認印として使用されますが、角印は重要な書類にも用いられる場合があることから、郵便物の受け取りや重要度の低い社内文書への押印などの日常的な業務のために用いるのが認印です。一般的には、丸形の形状で、印面には社名や代表者印が刻まれています。 ⑤ ゴム印 会社名、所在地、電話番号などが刻まれており、形状は長方形のものが一般的です。書類に封筒などに会社名や住所などを記載する際、ゴム印を押印すれば手書きで記入する手間を省くことができるため、作っていた方が便利です。 2.法務局で登録する印鑑に関する制約 前述のとおり、法務局で登録する代表者印の印鑑は、二重円の内枠に役職名、外枠に会社名の印影が写ったものが一般的ですが、これについて法律で何らかの定めがあるわけではありません。 会社の実印として法務局で登録する印鑑については、商業登記法規則で定められており、その中では次の2つの制約があるのみです。 ① 印鑑の大きさは、辺の長さが1cmの正方形に収まるもの、または辺の長さが3cmの正方形に収まらないものであってはならない(商業登記規則9条3項) この基準を満たすものであれば、丸印に限らず角印でも登録することは可能です。 ② 印鑑は、照合に適するものでなければならない(商業登記規則9条4項) いわゆるシャチハタ印などの浸透印やゴム印といった変形しやすいものは照合に適さないため登録することはできません。 なお、印鑑の表現については、個人の場合の各市町村の印鑑条例のような制限はなく、商号ができるのであれば、次のような印鑑でも登録することが可能です。 ① 会社名が読み取れない印鑑 ② 会社名がなく、個人名のみの印鑑 ③ 登記した会社名と異なる会社名が読み取れる印鑑
なお、以前は、会社等の法人を設立する際に、その印鑑を法務局に登録する必要がありましたが、令和3年2月15日に商業登記規則が改正され、オンラインで登記を申請した場合には、印鑑届書の提出が任意になりました。 ただ、制度上は任意と言っても、会社の印鑑の押印を求められる場面はまだまだ多いため、現実的には印鑑の登録をしておくほうが無難でしょう。 関連記事: 1.会社の印鑑登録が義務ではなくなりました |
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