2024/7/18

戦後でも家督相続の適用がある?沖縄・奄美群島の相続について

 
 
戦後でも家督相続の適用がある?沖縄・奄美群島の相続について
 
 
旧民法(明治31年7月16日から昭和22年5月2日までの間に施行されていた民法)の相続制度は「家督相続」が原則とされていました。しかし、戦後の日本では個人の尊重や法の下の平等が重視されるようになり、相続制度についても、「家」単位から「個人」単位に考えられるようになったことから、昭和22年の民法改正(新民法)により、相続制度は、現在の「法定相続」に改められました。
 
しかし、沖縄県については、昭和47年に本土に復帰するまで、琉球政府としてアメリカ政府の統治下にあり、その相続制度については、本土と同じ時期に「法定相続」に改められることはありませんでした。
 
沖縄の琉球政府で新民法が施行されることになったのは昭和32年1月1日からで、昭和31年12月31日までは「家督相続」制度が適用されていました。
 
また、奄美群島に関しては、昭和21年2月に本土と行政分離されアメリカ政府の統治下に置かれていましたが、昭和28年12月25日に日本へのクリスマスプレゼント」として返還され、本土に復帰しました。
 
奄美群島の復帰にあたり、できるだけ混乱が生じないよう法令の適用については経過措置が講じられた結果、復帰するまでに発生した相続については旧民法による家督相続が認められることになりました。
 
本土での相続手続に慣れていると、戦後は「法定相続」だと反射的に考えてしまうかもしれませんが、地域によっては新民法の施行時期が異なっており、被相続人が亡くなった時期によっては、戦後でも「家督相続」が適用される場合があることに注意が必要です。