2024/7/21

【解決事例】公正証書で作成した遺言書の記載に誤りがあったケース

 
【解決事例】公正証書で作成した遺言書の記載に誤りがあったケース
 
 
公正証書遺言により相続した不動産について、相続登記を申請しようとしたところ、遺言書に記載された不動産の表示に誤りを発見しました。
 
登記の申請書に記載する本来の不動産の表示と、遺言書に誤って記載された不動産の表示が一致していない場合、法務局は両者の同一性を確認できないため、最悪の場合、申請が却下されるおそれもあります(不動産登記法25条1項8号)。
 

公正証書遺言を作成する際には、事前に当事者の戸籍謄本や不動産登記簿謄本等の関係資料を公証人に提出します。公証人はそれらの資料を確認しながら遺言の文案を作成しますので、不備があることはまずありません。しかし、そうはいっても、やはり人間である以上、中には記載を誤ってしまい、そのまま公正証書として作成されてしまうこともあるでしょう。
 
もし、公正証書遺言を作成した後に記載誤り(誤記)を発見した場合は、公証人に誤記証明書を作成してもらうことができます。
 
ただ、誤記証明書により誤りを直すことができるのは、明白な誤記・遺脱に限られており、誤記のある公正証書の付属書類もしくは戸籍謄本・登記簿謄本・登記事項証明書等の関係書類上または他の記載に部分に照らして明白な場合に限られていることに注意が必要です。
 
誤記証明書は、公証人が誤記・遺脱部分を特定し、その正しい記載内容及び根拠資料を記載して署名押印又は記名押印して作成します。なお、誤記証明書の作成について、費用はかかりません。
 
今回のケースでは、遺言書は相当前に作成されており、当時の公証人は既に異動していましたが、その後任の公証人に誤記証明書を作成してもらい、それを添付することで無事に登記が完了しました。