2024/8/14
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婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置 |
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2019年(令和元年)7月1日以降、婚姻期間が20年以上である夫婦間で居住用不動産(居住用建物又はその敷地)の遺贈又は贈与がされた場合については、原則として、遺産分割における配偶者の取り分が増えることになっています。 ![]() 婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置 従来の制度では、配偶者に対して贈与等を行ったとしても、原則として遺産の先渡しを受けたものとして取り扱うため、配偶者が最終的に取得する財産額は、結果的に贈与等が無かった場合と同じになっていました。 例えば、次にような事例で考えてみます。
この場合において、配偶者の遺産の取り分を計算するときには、生前贈与についても相続財産とみなされるため、 (8,000万円+2,000万円)×1/2-2,000万円=3,000万円 となり、生前贈与による取得分とあわせた最終的な取得額は 3,000万円+2,000万円=5,000万円 となります。 しかし、これでは贈与があった場合となかった場合の最終的な取得額に変わりはないことになります。 通常、このような遺贈や生前贈与は、配偶者の長年にわたる貢献に報いるとともに、老後の生活保障の趣旨で行われる場合が一般的ですが、これでは被相続人が贈与等を行った趣旨が遺産分割の結果に反映されなくなってしまいます。 平成30年の法改正によって、被相続人の持戻し免除の意思表示の推定規定(民法903条4項)が設けられました。これにより、原則として遺産の先渡し(特別受益)を受けたものと取り扱う必要がなくなり、配偶者は、より多くの財産を取得することができるようになります。 上記の事例でいえば、生前贈与分について相続財産とみなす必要がなくなる結果、配偶者の遺産分割における取得額は 8,000万円×1/2=4,000万円 となり、生前贈与分を合わせた最終的な取得額は 4,000万円+2,000万円=6,000万円 となり、贈与がなかった場合の遺産分割より多くの財産を最終的に取得することができるようになります。 この改正は2019年(令和元年)7月1日から施行されています。
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