2024/9/7

相続開始前一定期間の贈与が相続税の課税対象になる?生前贈与の注意点

 
 
 
相続開始前一定期間の贈与が相続税の課税対象になる?生前贈与の注意点
 
 
贈与税の課税方式のひとつに「暦年課税」というものがあります。これは、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額に応じて課税される方式ですが、1人当たり年間110万円の基礎控除額があるため、贈与を受けた金額が110万円以下なら贈与税は発生せず、その申告も不要となります。
 
この暦年課税の贈与では、相続等によって財産を取得した人に対して、相続開始前の一定期間以内に贈与された財産を相続財産に加算し、その代わり贈与時に納めた贈与税については、相続税から控除する仕組みになっています。
 
そのため、相続開始前の一定期間以内に現金等を相続人である子などに贈与していても、相続財産として加算されてしまうことになります。
 
そして、この「相続開始前の一定期間」について、従来は3年とされていましたが、令和5年度の税制改正により、7年に延長されました。
 
この改正が実際に影響を及ぼすのは、令和9年1月1日以降に発生する相続での生前贈与です。
 
例えば令和5年1月1日に生前贈与していた人が令和8年6月1日に亡くなった場合、生前に贈与した財産を相続財産に加算するために遡ることができるのは令和5年6月1日までの3年間です。これは、令和5年末までに行った贈与には従来のルールが適用されるためです。
 
これに対して、令和6年1月1日に生前贈与した人が令和9年4月1日に亡くなった場合、新しいルールが適用されるため、令和6年1月1日に贈与した財産も加算の対象となります。
 
このように令和6年1月1日以降の生前贈与から、加算の対象となる期間が段階的に延びていくこととなり、令和13年1月1日以降に発生した相続では加算期間が7年になります。
 
7年以内の暦年贈与の加算は、相続等によって財産を取得した者に対する贈与に限られ、相続等によって財産を取得しない者に対する贈与は対象外です。したがって、子の配偶者や孫への贈与の場合は、相続が開始する直前に行った贈与でも、原則として加算はしないことになります。
 
ただし、贈与を受ける人が法定相続人ではないものの遺言によって財産を取得する予定になっている場合や、被相続人を被保険者とする生命保険の受取人になっている場合は、相続等によって財産を取得した者となるため、暦年贈与の加算の対象となる点には注意が必要です。
 
福岡県久留米市の森山司法書士事務所では、相続・遺言、不動産登記、会社・法人の登記、債務整理などのご相談・ご依頼を承っております。

手続や費用のことなど、気になることやお困りのことがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので、電話または問い合わせフォームより、お気軽にご相談ください。

ご予約いただければ、土日祝日・夜間も対応しておりますので、平日の日中だと時間の都合がつかない方なども遠慮せずにご相談ください。

また、オンライン相談も対応しておりますので、ご希望の方はお申し付けください。

皆様からのお問い合わせをお待ちしております。