2024/11/3
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代償分割とその注意点 |
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相続財産の分割方法の中には、法定相続分以上の遺産を取得した相続人が、他の相続人に対して金銭などを支払い、相続財産額の調整を行う「代償分割」という方法があります。例えば、相続人全員で遺産分割協議をした結果、特定の相続人が不動産を相続する代わりに他の相続人へ金銭を支払うというような場合です。 代償分割とその注意点
1.どのような場合に代償分割が行われるのか 遺産分割の方法には、遺産を現物のまま分配する「現物分割」、遺産を売却してその代金を分割する「換価分割」、共同相続人のうち一人または数人が遺産を取得する代わりに他の共同相続人に代償金を与える「代償分割」の3種類があります。 このうち、代償分割が行なわれるのは、相続人全員が納得できるような遺産分割が難しいような場合、例えば遺産を分けにくいものである場合などが考えられます。 遺産が現金や預金のように分けやすいものであれば、法定相続分の割合で分けることもさほど難しいことはないと思います。しかし、土地や建物、マンションのような不動産の場合はどうでしょうか。一つの方法として、法定相続分の割合で相続人全員の共有にする方法もありますが、この場合、将来、売却するかどうかで意見が異なったり、単独名義の場合よりも売却の手続に手間がかかったりするため、法定相続分の割合で共有することが決して最善の方法とは言えないかもしれません。 そこで、特定の相続人にその不動産を相続させる代わりに、他の相続人に対して金銭などの代償金を支払うという方法で遺産分割が行われるわけです。 2.代償分割の注意点 代償分割で遺産分割をする場合、遺産分割協議書の中で代償分割をする旨を記載しないと、金銭の支払いが単なる贈与である判断され、贈与税を課税されることがあります。 したがって、代償金の支払いに対して贈与税が課税されるのを避けるためには、遺産分割協議書に「代償として支払う」旨を明確に記載しておく必要があります。 なお、代償金の金額は、相続人の間で自由に決められますが、相続した財産より代償金が多い場合には贈与と認定され、贈与税が課税される可能性があります。 例えば、Aが1,000万円の土地を相続する代わりに、Bに代償金として1,500万円支払った場合、土地の評価よりも代償金が500万円上回っているため、その部分については贈与と判断されてしまう可能性があります。 また、代償分割においては金銭以外の資産を、他の相続人に対して交付することもできますが、その場合には資産の時価相当額の収入があったこととして、譲渡所得が課税される場合があるため注意が必要です。
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