2024/12/4
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裁量免責について |
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自己破産の手続においては、裁判所により免責が許可されることで、借金などの債務の支払義務を免れます。免責が許可されるには,破産法で定められている免責不許可事由のいずれにも該当しないことが必要になります。言い換えると、自己破産手続において免責不許可事由が認められる場合には、原則として免責は許可されないことになります。 しかし、免責許可事由がある場合にも、例外的に裁判所の裁量によって免責が許可される場合があり、これを、「裁量免責」といいます。 裁量免責について 自己破産の手続で免責が許可されるには免責不許可事由に該当しないことが必要です。 破産法では以下のような免責不許可事由が定められています。 1.債権者に害を与える目的で、自分の財産を隠したり、債権者に不利益になるように処分したり、あるいはその価値を減少させた場合 2.現金を得る目的で、クレジットで買い物をして、その品物をすぐに安い値段で業者に売り払ったり質入れした場合 3.浪費をしたりギャンブルなどにたくさんのお金を使って借金を増やしたような場合 4.既に借金を返すことができない状態にあるにもかかわらず、そういう状態ではないかのように債権者を信用させて、さらにお金を借りたような場合 5.裁判所へ提出する陳述書や財産目録で自分の財産について嘘を書いたり、債権者名簿に嘘を書いたり、裁判所に虚偽の説明をしたような場合 6.過去7年以内に免責を受けたことがある場合 7.破産手続開始決定を受けた人に定められている一定の義務に違反した場合 8.借金を返すことができない状態にあるにもかかわらず、この債権者平等の原則に反して、複数の債権者のうち一部の債権者にのみ返済した場合
免責不許可事由に該当した場合、絶対に免責が不許可となるわけではありません。破産法では、免責不許可事由に該当する行為をしていた場合であっても、裁判所はその裁量によって、破産手続開始決定に至った経緯やその他の事情を考慮し、債務の負担から解放を図ることが経済的な立て直しために適切であると判断し、免責を許可することが相当であると認めるときは免責を許可することができると定められており、これを裁量免責といいます。 したがって、たとえ免責不許可事由に該当する行為をしてしまった場合であっても、破産管財人の調査に対し正直に説明し、財産の開示を適切に行うなど、破産手続へ誠実に協力すれば、裁判所の裁量により免責される可能性はあるということです。 経験上、破産法上の免責不許可事由に該当する場合であっても、本人が免責不許可事由に該当する行為をしたことに対して深く反省していることや本人の経済的な再生を図るために破産免責が必要であることなどが認められれば、よほどのことがない限りは裁量免責が認められるものと思います。 ただし、免責不許可事由に該当する行為の程度が悪質であれば、裁量免責が認められない場合もありますので、わざと免責不許可事由に該当するような行為はしないようにしましょう。
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