2024/4/26

海外に住所を有する外国人を所有権の登記名義人とする登記の申請について

民法等、不動産登記令等、不動産登記規則等の一部改正により、令和6年4月1日以降、海外に住所を有する外国人を所有権の登記名義人とする登記の申請の際には、「国内における連絡先となる者の氏名・住所等」及び「所有者のローマ字氏名(氏名の表音をアルファベット表記したもの)」を提供する必要があります。
 
 
 
 
海外に住所を有する外国人を所有権の登記名義人とする登記の申請について
 
 
 
目次
1.国内における連絡先となる者の氏名・住所等の提供
2.ローマ字氏名の提供
 
 
 
1.国内における連絡先となる者の氏名・住所等の提供
 
 
令和6年4月1日以降、海外に居住している個人や法人を所有権の登記名義人とする登記を申請する際には、国内における連絡先となる者の氏名・住所等の国内連絡先事項を提供する必要があります。なお、国内連絡先となる者がないときはその旨を提供することもできます。
 
 
(1)国内連絡先事項について
 
国内連絡先となる者は、自然人でも法人でも構いません。
 
また、例えば外国に住所がある法人の日本国内の営業所など、所有権の登記名義人自身が国内連絡先となる者となり、その営業所等を国内連絡先事項とすることも認められます。
 
 
(2)国内連絡先事項の提供が必要な場合
 
海外に居住している個人や法人が売買によって新たに所有権を取得するような場合だけでなく、既に所有者として登記されている者が国内の住所から海外の住所に変更する場合や海外の住所から別の海外の住所に変更する場合で、国内連絡先事項の登記がされていないときは、その提供が必要となります。。
 
 
(3)国内連絡先事項として提供する申請情報の内容
 
国内連絡先事項としては次のいずれかの事項を提供する必要があります。
 
① 国内連絡先となる者が自然人の場合

・ 氏名、国内の住所(住民票上の住所)
・ 氏名、国内の営業所等(個人の事務所等)の所在地、営業所等の名称
 
② 国内連絡先となる者が会社法人等番号を有する法人の場合

・名称(商号)、国内の住所(本店)、会社法人等番号
・名称(商号)、国内の営業所等(支店のほか、登記されていない店舗等を含む。)の所在地、営業所等の名称、会社法人等番号
 
③ 国内連絡先となる者が会社法人等番号を有しない外国法人の場合

・ 名称(商号)、国内の営業所等(日本における営業所のほか、登記されていない店舗等を含む。)の所在地、営業所等の名称
 
④ 国内連絡先となる者が会社法人等番号を有しない内国法人の場合

・ 名称、住所(主たる事務所)
・ 名称、国内の営業所等(従たる事務所のほか、登記されていない店舗等を含む。)の所在地、営業所等の名称
 
⑤ 国内連絡先となる者がない場合

・ 国内連絡先となる者がない旨
 
 
(4)申請の際の添付情報
 
国内連絡先事項を提供して登記を申請する際には、添付情報として、国内連絡先事項を証する情報、国内連絡先となる者の承諾情報及び国内連絡先となる者の印鑑証明書(又は電子署名及び電子証明書)を提供する必要があります。
 
もっとも、国内連絡先となる者の住所を国内連絡先事項とするときは、一般的には国内連絡先となる者の印鑑証明書が国内連絡先事項を証する情報を兼ねることができます。
 
国内連絡先となる者の営業所等を国内連絡先事項とするときは、営業所等の所在地及び名称が記録されたホームページの内容を書面に出力したもの等であって、国内連絡先となる者の営業所等であることに相違ない旨の記載及び国内連絡先となる者の署名又は記名押印がされたものなどが国内連絡先事項を証する情報となります。
 
国内連絡先となる者がないときは、その旨の上申書(登記名義人となる者等の署名又は記名押印がされたもの)を添付情報とすることになります。なお、代位登記等、所有権の登記名義人となる者等が申請人とならない登記の申請の場合には、この上申書の提出は不要です。
 
 

2.ローマ字氏名の提供
 
 
外国人を所有権の登記名義人とする登記の申請の際には、ローマ字氏名(氏名の表音をアルファベット表記したもの)を申請情報として提供する必要があります。
 
 
(1)ローマ字氏名を申請情報として提供する必要がある場合
 
売買などにより新たに所有権を取得する場合でだけでなく、外国人の氏名の変更の登記を申請する場合にも、ローマ字氏名の提供が必要となります。ただし、代位により登記を申請する場合その他の登記名義人となる者等以外の者が登記を申請する場合において、登記名義人となる者等が住民基本台帳に記録されていない外国人であるためローマ字氏名を証する情報の提出が困難であるときは、例外的にローマ字氏名を申請情報として提供しないこととして差し支えありません。
 
(2)ローマ字氏名を申請情報として提供する場合の添付情報
 
ローマ字氏名を申請情報として提供する場合にはローマ字氏名を証する情報を添付する必要があり、具体的には、以下の書面等が該当します。
 
① 登記名義人となる者等が住民基本台帳に記録されている外国人の場合

住民票の写し(ローマ字氏名が記載されているものに限ります。)
 
② 登記名義人となる者等が住民基本台帳に記録されていない外国人であって、旅券を所持している場合
ローマ字氏名が表記されたページが含まれている旅券の写しであって、次の内容をすべて満たすもの。
 ・登記申請の受付の日において有効な旅券の写しであること。
 ・ローマ字氏名並びに有効期間の記載及び写真の表示のあるページの写しが含まれていること。
 ・旅券の写しに原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者等の署名又は記名押印がされていること。
 
③ 登記名義人となる者等が住民基本台帳に記録されていない外国人であって、旅券を所持していない場合

登記名義人となる者等のローマ字氏名、当該ローマ字氏名が当該者のものであることに相違ない旨及び旅券を所持していない旨が記載された当該者の作成に係る上申書であって、当該者の署名又は記名押印がされているもの。