2024/8/20

電子公告制度について

電子公告制度とは、会社法や一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の定める公告方法の一つで、株式会社等の合併や資本減少等の公告をインターネットを利用する方法により行う制度です。
 
 
 
 
 
電子公告制度について
 
 
目次
1.電子公告制度の概要
2.電子公告の手続の流れ
3.決算公告に関する特例
4.調査結果通知
 
 
 
1.電子公告制度の概要
 

電子公告制度の導入のための商法等の一部を改正する法律が平成17年2月1日から施行され、これまで官報に掲載する方法又は時事に関する日刊新聞紙に掲載する方法に限定されていた公告方法に加え、会社や一般社団法人等がインターネットを利用することにより公告を行うことを可能とする制度が導入されました。
 
従来、会社が官報又は日刊新聞紙に掲載する方法により行っていた合併や資本減少等の公告を、インターネット上のホームページに掲載する方法によって行うことができるようになり、利害関係人は、インターネットを利用して、公告の内容が掲載されているホームページにアクセスすることによって、その内容を知ることができます。 
 
 

2.電子公告の手続の流れ
 
 
(1)定款変更等
 
会社等が行う公告を電子公告の方法によって行うためには、定款にその旨を定めておく必要があります。
 
したがって、会社等を設立する際に電子公告を導入する場合には、設立時に作成する定款(いわゆる「原始定款」に「当会社(当法人)の公告は、電子公告の方法により行う。」旨の定めを置く必要があり、既存の会社等がこれから電子公告を導入する場合は、定款を上記と同じ内容に変更しなければなりません。
 
なお、この場合には、ウェブページのURLまで定款に定めておく必要はありません。
 
また、電子公告を公告方法とする場合には、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合の公告方法として、官報又は日刊新聞紙のいずれかを定款に定めることができます。
 
公告方法の定款記載例

(電子公告により行う旨のみを定めた場合)
第〇条 当会社(当法人)の公告は、電子公告により行う。

(予備的公告方法として「官報」に掲載する方法を定めた場合)
第〇条 当会社(当法人)の公告は、電子公告により行う。ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合は、官報に掲載する方法により行う。

(予備的公告方法として「日刊新聞紙」に掲載する方法を定めた場合)
第〇条 当会社(当法人)の公告は、電子公告により行う。ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合は、東京都において発行する〇〇新聞に掲載する方法により行う。
 
 
(2)登記申請
 
会社等が定款を変更して電子公告を公告方法とした場合には、変更後2週間以内に、本店又は主たる事務所の所在地の管轄法務局に登記を申請しなければなりません。この場合には、公告方法のほかに公告ホームページのURL(注)についても登記をしなければなりません。
 
なお、登記事項である公告ホームページのURL(登記アドレス)については、公告ページのURL(公告アドレス)又は公告ページが複数にわたる場合に作成する共通ページのURLのいずれでも差し支えありません。
 

(3)電子公告調査機関への調査の委託
 
法律の規定による公告を電子公告によりしようとする会社等は、後述する決算公告の場合を除いて、公告期間中に電子公告が適法に行われたかどうかについて、法務大臣の登録を受けた電子公告調査機関の調査を受けなければならないとされており、調査を受けようとする会社等は、電子公告調査機関に対して調査を委託しなければなりません。
 
電子公告調査機関とは

電子公告は、官報又は日刊新聞紙の場合と異なり、事後の改ざんが容易であるなどの問題があることから、電子公告が適法に行われたかどうかについて客観的証拠を残すため、法務大臣の登録を受けた電子公告調査機関の調査を受けなければなりません。

電子公告調査機関は、公告期間中、定期的にホームページを調査して正常に掲載されているか、改ざんがされていないか等を判定してその結果を記録し、電子公告調査が終了すれば、速やかに調査の結果を電子公告を行った会社等に対して通知しなければならないこととされています。

現在登録されている電子公告調査機関の一覧は法務省のホームページで確認することができます。
 

 
3.決算公告に関する特例
 
 
株式会社、一般社団法人又は一般財団法人は、定時総会によって承認される貸借対照表(大会社、大規模一般社団法人又は大規模一般財団法人であれば、貸借対照表及び損益計算書)を遅滞なく公告することが法律で定められています。この公告のことを決算公告といいますが、電子公告によって決算公告を行う場合には次のような特例があります。
 
① 決算公告については、他の公告事項について電子公告を行う場合と異なり、電子公告調査機関の電子公告調査を受ける必要がありません。
 
② 電子公告を公告方法とする会社等が決算公告をする場合には、官報又は日刊新聞紙により決算公告をする場合と異なり、その要旨を公告することはできず、必ず全文を公告しなければなりません。
 
③ 決算公告用のホームページは、他の公告事項についてのホームページとはリンクのない別のアドレスのものを登記することができます。
 
なお、会社等の公告方法を官報又は日刊新聞紙による方法としている場合であっても、決算公告のみをインターネット上のホームページに掲載することも可能です。この場合、貸借対照表等が掲載されるウェブページのURLを登記する必要があります。
 
 
 
4.調査結果通知
 
 
適法な公告が行われたかどうかを証明しようとする場合、官報又は日刊新聞紙による公告であれば、当該公告が掲載された印刷物が客観的な証拠資料となりますが、電子公告による公告であれば電子公告調査機関の作成に係る調査結果通知が客観的な証拠書類になるとされています。したがって、電子公告を公告方法としている会社等が登記申請書に「公告をしたことを証する書面」を添付する場合、この調査結果通知を用いることになります。
 
 
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