2026/3/23

【令和8年4月1日施行】民法改正による養育費の支払確保に向けた見直し

 2024年(令和6年)5月に成立した民法等の改正法では、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、こどもを養育する親の責務を明確化するとともに、親権、養育費、親子交流などに関するルールが見直されました。
 
ここでは、養育費の支払確保に向けて見直されたルールを解説します。
 
 
 
 
【令和8年4月1日施行】民法改正による養育費の支払確保に向けた見直し
 
4月1日に施行される改正民法では、養育費の支払確保に向けて以下の点が見直されています。
・養育費の取り決めに基づき民事執行手続の容易化(取り決めの実効性の向上)
・養育費の取り決めがない場合でも暫定的な養育費(法定養育費)を請求できる制度の新設
・養育費に関する裁判手続の利便性向上
 
 
法定養育費
従来は、父母双方の協議や家庭裁判所の手続により養育費の額を決めなければ養育費の請求をすることができませんでしたが、今回の改正により、離婚のときに養育費の取り決めをしていなくても、離婚のときから引き続き子の監護を主として行う父母は他方に対して暫定的に一定額の養育費を請求することができるようになります。これが「法定養育費」の制度です。なお、その額は子1人当たり月額2万円とされています。

法定養育費は離婚の日から発生し、①父母が養育費の取り決めをした日②家庭裁判所における養育費の審判が確定した日③子が18歳に達した日のいずれか早い日まで発生し続けることになります。また、支払義務を負う親は、毎月末にその月の分の法定養育費を支払う必要があります。
 
注意しなければならないのは、改正前に離婚した場合はこの法定養育費を請求することができないことと、この法定養育費の制度はあくまでも養育費の取り決めをするまでの暫定的・補充的なものであることです。子の健やかな成長を支えるためには、父母の協議や家庭裁判所の手続により、各自の収入等を踏まえた適正な額を養育費とする取り決めをすることが大切でしょう。
 
 
養育費の合意の実効性の向上
これまでは、父母間で取り決めをしていた養育費の支払がなかったときに、養育費の支払義務を負う親の財産を差し押さえるためには、公正証書や調停調書、審判書などの債務名義が必要でした。
 
しかし、今回の改正により、養育費を請求する権利に「先取特権」が付与されることとなり、法定養育費や、父母間で取り決めた養育費が約束通り支払われない場合、調停調書や公正証書がなくても養育費の取り決めの際に父母間で作成した文書に基づいて差押えの手続を申し立てることができるようになります。
 
先取特権とは?
法律で定められた債権を有する者は「他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利」を有します(303 条)。この権利を先取特権といいます。
 
 
養育費のうち先取特権が付与される上限の額は、子1人につき月額8万円です。
 
なお、改正民法の施行前(令和8年3月31日以前)に養育費の取り決めをしていた場合、改正民法の施行後(令和8年4月1日以降)に発生する養育費に限って先取特権が付与されることになります。
 

裁判手続の利便性の向上
養育費に関する裁判手続では各自の収入を基礎として養育費の額を算定することとなりますが、今回の改正では、手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が当事者に対して収入情報の開示を命じることができるようになります。
 
また、養育費を請求するための手続として、債権差押や財産開示手続、第三者に対する情報開示といった手続があるものの、これまではそれらの手続は個別に申し立てをする必要がありました。
 
今回の改正では地方裁判所に対する1回の申立てで①財産開示手続(養育費の支払義務を負う者は、その保有する財産を開示しなければならない)②情報提供命令(市区町村に対し養育費の支払義務を負う者の給与情報の提供を命じる)③債権差押命令(判明した給与債権を差し押さえる)という一連の手続を申請できるようになります。
 
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