2024/9/25
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株式会社の設立がスムーズに!~定款認証の手続が変わります~ |
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株式会社を設立するには、公証役場で定款の認証を受けなければなりませんが、その定款認証の手続について、令和6年1月10日からは東京都内及び福岡県内の公証役場において、同年9月20日からは埼玉県内、千葉県内、神奈川県内、愛知県内及び大阪府内の公証役場において2つの原則が導入されています。これによって、株式会社の設立手続がスムーズになることが期待されています。 株式会社の設立がスムーズに!~定款認証の手続が変わります~
1.定款認証の手続 定款認証の手続はおおまかに次のよう流れとなっています。 (1)定款の作成 会社の基本的なルールである定款を作成します。定款の記載事項には、法律上必ず記載しないと定款が無効となるもの(絶対的記載事項)のほか、定款に記載しないと効力が生じないもの(相対的記載事項)、記載するかしないか当事者に任されているもの(任意的記載事項)があります。このうち、絶対的記載事項については必ず記載していないと定款が無効となるので注意が必要です。 (2)事前チェック 定款や必要書類一式を公証人にFAXやメール送信するなどして、事前チェックを受けます。誤字脱字や訂正を要する事項があれば公証人から指摘があり、問題なければその旨の連絡があります。チェックが終わったら(4)の面前審査の日時を予約します。 (3)申請(電子定款の場合) 紙ではなく、電子定款を作成した場合には、電子署名を行いオンライン申請を行います。 (4)面前審査 予約した日時に公証人の面前で審査を受けます。公証役場へ行って審査を受けるほかウェブ会議システムを利用してオンラインで審査を受けることもできます。紙の定款で認証を受ける場合には、定款を3通持参することに注意が必要です。 (5)認証 認証が終わったら、電子定款であれば定款データを、紙の定款であれば持参した定款3通のうち、2通(法人保管用、設立登記の申請用)を受け取ります。 2.原則①「48時間処理」 小規模でシンプルな株式会社をスピーディーに設立したいという起業家のニーズに応えるため、定款の作成を支援するツールが、日本公証人連合会のホームページで公開されています。https://www.koshonin.gr.jp/news/nikkoren/startup.html このツールをダウンロードし、必要項目についてプルダウン選択・入力をすれば定款が完成します。 この定款作成支援ツールを利用して作成した定款については、原則として48時間以内に認証手続きを完了するという運用になっています。 ただし、以下のような点には注意する必要があります。 ①定款作成支援ツールで作成できる定款の内容には「発起人が3名以下」「取締役会を置かない」など制限があります。 ②定款作成支援ツールによって作成された定款に電子署名を行い、オンラインで申請する必要があります。 ③48時間処理を希望する旨の申請を提出する必要があります。 ④48時間の起算点は、必要な資料がすべて公証役場にメールで到達した時です。紙の資料等を持参あるいは郵送する場合には算定方法が異なります。資料に不備があれば、手続に時間を要する場合もあり、また土日祝日は算定時間に含まれません。 3.原則②「ウェブ会議での面前審査」 電子定款の認証を受ける場合の面前審査については、特に対面で実施したいという希望がなければ、ウェブ会議で実施することが原則となりました。認証が済んだ後の定款データもメールで受け取ることができるようになったため、公証役場へ行く負担をなくすことができます。 なお、日中だと面前審査の日程の都合がつかない場合には、平日20時までならウェブ会議により審査を受けることも可能です。ただし、事前に公証人と相談する必要があります。 4.おわりに 2つの原則の導入によって定款認証の手続が変わりますが、さらに48時間の処理を利用した場合、公証人の定款認証と法務局の設立登記を合わせて原則として72時間以内に完了する取組も始まっています。 定款認証後から設立登記を申請するまでの時間は72時間に含まれないことや、設立登記の際には添付書類をすべて電磁的記録で作成したうえ、定款認証後1週間以内にオンラインで申請し、登録免許税を電子納付する必要がある点には注意が必要ですが、これを利用すれば、会社の設立までにかかる時間をより短くすることができます。
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